✎８ ページ8
だが、生憎こちらはまだ敬語すら外れていない好きな人の相談に乗る勇気はもちあわせていない。俺は悩んだ末、口を開いた。
「今日、奢りますよ。」
『えっ？』
「せっかく誘ってくれたんですし、何かの縁ということで。」
まぁ実を言うと好きな人には奢っていいところを見せたいという俺のエゴでしかない訳だが。彼女は最初申し訳なさそうにしていたが、俺が折れないと分かると苦笑しながらも受け入れてくれた。
『じゃあお言葉に甘えて…。』
「是非好きなだけ食べてください。」
彼女はお肉を頼んで、幸せそうに食べていた。つられて俺まで笑顔になってしまって、胡桃さんに相当惚れ込んでいるんだな、と自嘲した。
「最近、学校の方はどうですか。」
『ぼちぼちですよ。まぁみんな元からいい子ですから。元気一杯すぎてこっちが置いていかれそうです。』
クスクスと笑いながら胡桃さんは学校のことを色々教えてくれた。あと少しで林間学校があること。また公園で遊ぶ予定があること。体育では縄跳びをやっていること。あまりにも楽しそうに話すので、本当に子供が好きなんだな、と認識させられた。
『…でも、たまに不安になるんです。』
「え？」
胡桃さんは少しだけ声のトーンを落として口を開いた。
『教師になりたての私を、みんなどう思ってくれているのか。子供というのは素直です。ですが、大人が思っている以上に周りをよく見ています。だから、私はちゃんと教師をやれているか、急に不安になったりするんです。』
勝手ながら俺は、これがきっと彼女の今の悩みなんだろうと憶測を立てた。ただ、申し訳ないことに俺は教師でもなければ、人の相談に乗れるカウンセラーでもない。何かいい言葉がないか探していると、先に彼女が口を開いた。
『…って、なんか暗い話しちゃってごめんなさい。お肉、食べますか？』
「いえ…大丈夫です。」
何も声をかけられない自分が、酷く情けなかった。
______________________
お星様が赤くなりました。ありがとうございます🙌
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 693人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
モチモチな餅。(プロフ) - あおうみさん» わ〜！嬉しいです！！ありがとうございます◎ (2022年7月4日 23時) (
レス) id: 42d02b6ee6 (このIDを非表示/違反報告)
モチモチな餅。(プロフ) - mahoratami-WTさん» 全然返信してなかった…ありがとう〜😭 まだ頑張るからねぇ！ (2022年7月4日 23時) (レス) id: 42d02b6ee6 (このIDを非表示/違反報告)
モチモチな餅。(プロフ) - つゆさん» 返信遅くなりました…！！ありがとうございます、嬉しいです😂 (2022年7月4日 23時) (レス) id: 42d02b6ee6 (このIDを非表示/違反報告)
あおうみ - このシリーズマジで好きです!そしてWTさん全員リア充(お話完結)おめでとうございます! (2022年7月4日 0時) (レス) @page22 id: 622d287965 (このIDを非表示/違反報告)
mahoratami-WT(プロフ) - 完結おめでとう〜！！やっばぃもぅ、全部好き(*´-`*) 学校から帰って疲れたときに見てるから癒されて疲れがとれるんよぉ！((感謝感謝！ これからも無理せずコロナに気を付けてね！ 望んで染まる短編集の更新楽しみに待ってるよ〜！ (2022年4月12日 0時) (レス) @page22 id: 87c639ac9e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：モチモチな餅。
| 作成日時：2022年2月27日 14時
