◎雷雲_nkm ページ47
(雷シリーズ)
「ねぇ、早くそっち持ってってば。」
『わかってるからそんなに急かさないでってば!』
年に一度の文化祭。それなのに、なぜ私は犬猿の仲であるなかむと準備をしているんだろう。そう思って心の中で大きなため息を吐いた。役割分担を決める日に風邪を引いた私は、気付けばなかむと同じグループにさせられていたのだ。あれほどまでに頭を抱えた日は二度と来ないと思う。
今だって、友達に言われてなかむと用務室に机を取りに来たわけだけど。絶対に二人きりになりたくなかった。いたたまれなさすぎる。思い机を何とか持ち上げようと近くにあった椅子を退かす。軽く時計を見ると、あと少しで下校時間だ。もう少しの辛抱かぁ、と視線をずらした時だった。
ガラガラガラっ、ドーン!パンっ、
『っひゃ、!??』
「わ、音やば…って、A?」
外から大きな雷の音が聞こえてきたかと思えば、目の前の視界が暗くなる。バクバクとなる心臓。耳を塞いで思わずしゃがみこんだ。この大きな音が、私は大の苦手だった。
「ちょ、え?平気?暗いの苦手なわけ?」
『や、ちが、かみなり、』
「…雷の音?」
近くなったなかむの声にこくりと頷く。私はどうにもこうにも雷が得意じゃない。しかもよりによって停電とか、本当についてない。泣きそうになるのをぐっと堪えていると、頭に柔らかい感触が伝わってくる。
「あー…とりあえず、停電直るまでここいよ。俺もいるから。…いや、俺じゃない方がいい?別の奴呼んでこよっか?」
なかむは気まずそうにそう言うと、私の頭を撫でていた手を離そうとした。咄嗟にその手首を掴んで、頭に押し付ける。今は、苦手だとか仲良くないとか、どうでもいい。誰でもいいからそばにいて欲しかった。
『や、ここから離れちゃ、だめ。』
そう言って擦り寄れば、その手は優しく頭を撫で続けた。彼が固唾を飲んだ音は、雷の音でかき消された。
(なん、え?コイツ、こんな可愛いところあったっけ……?)
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ガラ悪いnknさんは健康にいいんですよね(?)
あと少しで続編出るぞ〜…!!
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モチモチな餅。(プロフ) - すみれいんさん» ほんとですか!良かったです🤭💖 (10月13日 18時) (レス) id: 42d02b6ee6 (このIDを非表示/違反報告)
すみれいん(プロフ) - 自力更生_nkmの数ヶ月後のお話が何故だが想像できました!笑 (10月12日 23時) (レス) @page27 id: a715f4eb82 (このIDを非表示/違反報告)
モチモチな餅。(プロフ) - とっぽさん» ありがとうございます〜!頑張ります☺️👍💕 (9月19日 18時) (レス) id: 42d02b6ee6 (このIDを非表示/違反報告)
とっぽ(プロフ) - パスワード外れてる!また見れて嬉しいです。(と言ってもコメントしたのは初めてですが)これからも応援してます!無理のなさらない程度で更新頑張って下さい! (9月19日 6時) (レス) id: be3600e3e7 (このIDを非表示/違反報告)
モチモチな餅。(プロフ) - あやさん» わー!?そうですね、ミスってます…ご指摘ありがとうございます🥲🥲 (8月16日 19時) (レス) id: 42d02b6ee6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:モチモチな餅。 | 作成日時:2023年5月9日 20時