◎雷鳴_br ページ35
(雷シリーズ)
「さいっあくなんだけど…。」
『その言葉そっくりそのまま返すよ。』
「うるさいデース。」
誰もいなくなった教室で同じクラスのぶるーくと二人きり。私にとっては正直、都合が悪かった。彼とは馬が合わないというか、話してもすぐどっちかが何かに突っかかってやいやい言い合うのが日常的的。いつもならなかむとかきりやんが仲裁するのだけど、二人きりは久しくなってないので何となく気まずい。
窓の外ではざあざあと、バケツをひっくり返したかのような雨が降っている。そして悲しいことに私もぶるーくも傘がない。天気予報を見なかったからバチが当たったんだろう。
「はーぁ、どうすんの?濡れて帰る?」
『そうするしかないじゃん。学校の貸し出し用の傘全部無かったし。なかむがいたら一緒に傘入れてもらったのに…。』
今日はなかむの方が部活が無かったので先に帰ってしまったのだ。もうみんな帰っちゃってるしな…。
「僕だって出来たら他の友達に傘入れてもらってます〜!」
『なんの張合いよ。もういい、帰るっ、』
鞄を持ってドアに向き直ったと同時に、窓のすぐ側でピカッと光った。そのすぐ後に、バリバリバリ!!!と爆音が響く。
「っわ、」
『ひっ!?』
ぶるーくの声が少し聞こえたものの、私の方の叫び声が上回った。頭がぐらぐらしてその場でしゃがみこんだ。
「は、え?ちょ、なにしてんの?」
『ちょっと、音にびっくりしただけ…。』
本当は、雷の音が大の苦手。だけど、彼にはバレたくなくて差し出された手を無視した。何とか立ち上がってドアに手をかけるも、まだ遠くの方でゴロゴロと音がしてるのが怖くて足が止まる。
「…怖いんじゃないの?」
『っちが、』
「顔真っ青だよ。」
振り返ったと同時にふわりと抱きしめられる感覚。言葉を発する前に耳を手で塞がれた。とくとく、とぶるーくの心拍音だけが聞こえる。
「雷遠くなるまで、このままね。」
今まで聞いたことの無いような柔らかい声に、私はただ頷くことしか出来なかった。
1883人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
モチモチな餅。(プロフ) - すみれいんさん» ほんとですか!良かったです🤭💖 (10月13日 18時) (レス) id: 42d02b6ee6 (このIDを非表示/違反報告)
すみれいん(プロフ) - 自力更生_nkmの数ヶ月後のお話が何故だが想像できました!笑 (10月12日 23時) (レス) @page27 id: a715f4eb82 (このIDを非表示/違反報告)
モチモチな餅。(プロフ) - とっぽさん» ありがとうございます〜!頑張ります☺️👍💕 (9月19日 18時) (レス) id: 42d02b6ee6 (このIDを非表示/違反報告)
とっぽ(プロフ) - パスワード外れてる!また見れて嬉しいです。(と言ってもコメントしたのは初めてですが)これからも応援してます!無理のなさらない程度で更新頑張って下さい! (9月19日 6時) (レス) id: be3600e3e7 (このIDを非表示/違反報告)
モチモチな餅。(プロフ) - あやさん» わー!?そうですね、ミスってます…ご指摘ありがとうございます🥲🥲 (8月16日 19時) (レス) id: 42d02b6ee6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:モチモチな餅。 | 作成日時:2023年5月9日 20時