◎漸近線_kn ページ31
ひんやりとした風が頬を撫でて、思わず身震いをする。まさか今日がこんなに寒くなるなんて知らなかった。天気予報をもっとちゃんと見ておけばよかったな、と後悔。
『っあ〜…早く帰ろ。』
上着のポケットの中に手を突っ込んで早足で帰路につく。仕事の転勤で移動してから早二年。いまだにこの寒さは慣れないでいる。もし、前に住んでいた場所ならきっと、
「も〜、ちゃんと上着羽織って来ないからでしょ。」
そう笑って私に上着を貸してくれる彼がいたんだけど、なんて思いを馳せる。あっちでは半同棲していた彼とは、今は遠距離恋愛中。私が転勤すると言ったら、
「頑張ってね。たまには連絡してよ？心配するから。」
なんて言われたのを思い出す。最初の頃はこまめに電話をしたりメールを送ったりしていたけれど、仕事が忙しくなって段々減っていった。彼もこまめに連絡をしたりする方では無いし、最近は殆ど連絡していたい。
『…電話しよ。』
ポケットからスマホを取りだして、下の方にいってしまった彼の連絡先をタップする。耳元にスマホをあてる。
1コール、2コール…
"「もしもし、A？」"
『っあ、きんとき。急に電話してごめんね。今平気？』
"「うん。大丈夫。どしたの急に。電話なんて久しぶりじゃない？」"
久々の彼との会話に心が温かくなる。相変わらずの柔らかく、優しい声に思わず頬が緩んだ。
『最近バタバタしてたし、きんときの声聞きたいなぁって。』
"「なにそれ〜。可愛いこと言うじゃん。」"
『可愛いって、なにそれ。』
ふふ、と笑うと通話越しの彼の声以外に、車の走る音が聞こえた。もしかして出先だったのかな。
『あ、もしかして今外？』
"「うん。ちょっとね。」"
『後でかけ直そうか？』
"「ううん、平気。すぐ会えるから。」"
『えっ？』
"「ねぇA、後ろ向いて。」"
そう言われて振り返る。それと同時、ふわりと何かに包まれる。一瞬体が強ばるが、懐かしい香りに思わず泣きそうになった。
『き、とき、』
「ふふ、俺の方が我慢できなくなっちゃった。」
背中に回された腕が、あたたかい。
「もう、また上着忘れて…天気予報見なかったんでしょ。」
『…でもきんときが貸してくれるじゃん。』
「こら。」
おでこに、優しくキスが落とされた。
＿＿＿＿＿＿＿＿
漸近線_ぜんきんせん
･･･十分遠くで曲線との距離が0に近づき、かつ曲線と接しない直線のことである。
遠距離恋愛中のknさんが会いに来てくれるお話でした！
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モチモチな餅。(プロフ) - すみれいんさん» ほんとですか！良かったです🤭💖 (10月13日 18時) (
レス) id: 42d02b6ee6 (このIDを非表示/違反報告)
すみれいん(プロフ) - 自力更生_nkmの数ヶ月後のお話が何故だが想像できました！笑 (10月12日 23時) (レス) @page27 id: a715f4eb82 (このIDを非表示/違反報告)
モチモチな餅。(プロフ) - とっぽさん» ありがとうございます〜！頑張ります☺️👍💕 (9月19日 18時) (レス) id: 42d02b6ee6 (このIDを非表示/違反報告)
とっぽ(プロフ) - パスワード外れてる！また見れて嬉しいです。(と言ってもコメントしたのは初めてですが)これからも応援してます！無理のなさらない程度で更新頑張って下さい！ (9月19日 6時) (レス) id: be3600e3e7 (このIDを非表示/違反報告)
モチモチな餅。(プロフ) - あやさん» わー！？そうですね、ミスってます…ご指摘ありがとうございます🥲🥲 (8月16日 19時) (レス) id: 42d02b6ee6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：モチモチな餅。
| 作成日時：2023年5月9日 20時
