触れて染まる短編集【WT】

◎離婚危機_br ページ3

(離婚危機シリーズ)(結婚済・喧嘩表現有)

まぁたぶん、お互いにストレスやら色々溜まってたんだと思う。そうじゃなきゃこんなことにはならなかったはずで。最近お互いに刺々しくなったな、とは思っていたんだけど。

「もういいよそういうの。何回もウザイって。」
『何それ。私はぶるーくのことを思って、』
「だからその言い方やめて？本当にムカつく。」

そこから止まらなくなる愚痴の数々。さすがにこれは、私も無理だった。出会ってからけ付き合って、そして結婚して。十数年経った今、私はもう限界だった。

『…じゃあもうやめようか。』
「何を。」
『結婚生活。』
「……え？」

そこまで言って、ぶるーくの口数がピタリとやんだ。そしてみるみるうちに表情が歪んでいく。

「な、んで、そういうこと、言うの。」
『だってここ数日ずーっとこうじゃん。ぶるーくも辛いでしょ？だったら距離置くべきかなって。』
「でもっ！だからって、離婚とか、」
『嫌なの？私の事嫌いなくせに。』

嫌味ったらしいやつだとはどうか言わないで欲しい。私だって限界だったんだ。毎日帰ったらグチグチ言われて、お互いにまた喧嘩して。息苦しくてしょうがなかった。だったらもう全部、解放されたっていいじゃないか。

「…きらいじゃ、ない。」
『そう？私は今のぶるーく嫌いだよ。』
「っ、」

彼は一瞬苦しそうな表情を浮かべる。それじゃあまるで私が悪者みたいじゃん。でもまぁ、ここまで言わないとぶるーくは気付いてくれないだろうし。

「…やだ。」
『そんな子供みたいに言われても、「Aと、一緒がいい。」

私の言葉を遮り、ぎゅっと手を繋がれる。久しぶりに感じた彼の体温に心が温かくなる。

『…ちゃんと生活習慣見直す？』
「うん。」
『ご飯食べてくれる？』
「食べる。」
『じゃあ仲直り。』

そう言って手を広げれば、ぶるーくは一瞬戸惑った表情を浮かべたものの、すぐに笑顔になって飛びついてきた。ハグはストレス解消になると言っていたけど、なんだか今なら信じられそう。

「今日、一緒に寝よ。」
『…なんもしない？』
「…えへ。」

そんな風に言ってもらえて可愛くありません。
…まぁ今日ぐらい許してもいいとは思うけど。
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離婚危機シリーズ開始です。
喧嘩は難しい…。

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