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花月さんの家の前に着いて、杠葉さんとわかれた。さっきより口元が緩んでいるのが自分でも分かった。今は別に彼女からの愛情が一直線に俺に向いてなくてもいい。まぁ、今は。絶対に矢印を、強制的にでも向かせればいい話。そう、それだけ。コンビニで適当におかずを買って家に帰った。…さっき、連絡先でも交換すりゃ良かったな。これは失態だ。
手持ち無沙汰になってしまったので、久しぶりに部屋の片付けをすることにした。本棚やらデスクやらを片していたら床に積み上がっていく本達に思わず溜息をつきそうになる。
「…ん?なんだこれ。」
たまたま目に付いた大きめの本。手に取ると、そこには "memories" と書かれていて。…なるほど、これは昔のアルバムか。
「あぁ、4、5歳くらいの…。」
ペラペラと捲ると、まるで覚えていない写真が大量に貼ってあった。公園で遊んでいたり、当時の友達であろう人と遊んでいたり。こんな奴いたなぁ…なんて見ていると、あるページからひらりと花びらが落ちた。そしてそこにあった写真を見て、手が止まった。
「…は、これ。」
一瞬で息が止まった。一枚の写真。俺と、隣にしゃがむ女の子。その子の手にはスノーフレーク。その子の笑顔は、凄く、見たことがあって。
「待て、待ってくれ。ちょ、は、」
頭がおかしくなりそうだった。いや、もう十分おかしかった。この写真に映る子は、まさか。
「杠葉、A…。」
"『スマイルくん!みてみて、シロツメクサで花冠作ったのー!』"
"「上手、Aちゃんはお花が似合うね。」"
"『ほんと?スマイルくんありがとー。』"
"「…でも、Aちゃんにはこれが似合うと思うよ。」"
"『これ?これなんて言うの?』"
"「これ、スノーフレーク、っていうんだって。この間テレビで見たんだよ。」"
頬が、熱くなった。
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シロツメクサ・・・幸福、約束
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作者名:モチモチな餅。 | 作成日時:2022年1月2日 14時