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あの花屋に行かなくなって、早二週間。きんときには心配そうな顔をされたが、他の奴らは俺の変化に気付いてないようで特に何も言われなかった。…もしかしたらなんかの気遣いかもしれないが。

今日も今日とて撮影を終え、コンビニに行こうと家を出た。すると、目の前に杠葉さんが花束を持ってキョロキョロしているのに気がついた。まさかの想い人の登場で動揺してしまった。…こんな所で何をしているのだろうか。

『…?あ、澄井、さん。』
「…お久しぶりです。」

軽く会釈をすると、彼女が恐る恐るといった様子で俺に話しかけてきた。手には、ブーゲンビリアの花束が。

『あの、この近くに花月さんという方のお家があるはずなんですけど分かりますか…?』
「花月…あ。」

なんとなく聞いたことのある苗字。そう言えばきんときの彼女さん、花月じゃ…?

「俺の友人の彼女なので、連絡してみましょうか?」
『え、いいんですか!?実は花のお届けを頼まれてたんですけど…私方向音痴で。』

たはは…と自虐的に笑う彼女。久しぶりに見た杠葉さんの笑顔に、今まで考えていたことが全部吹っ飛んだ。…彼女に好きな人がいようが、もうなんでもいい。俺は、彼女が好きなんだ。その事実さえあれば、もうそれでいいだろう。勝手に一人で開き直り、口を開いた。

「…俺が案内します。」
『えっ、いいんですか!?ありがとうございます。』

杠葉さんは嬉しそうにパッと笑う。そう、俺はこの笑顔が好きなのだ。軽く話しながら道を歩いていると、杠葉さんが急に押し黙った。

「杠葉さん?」
『…あの、澄井さん。私何か失礼なことをしてしまったでしょうか?』
「え?」

暫く彼女が何が言いたいのか理解が出来なかった。失礼なこと…は別にされていないし。不思議に思っていると彼女は、少しだけ悲しそうな表情を浮かべた。

『澄井さん、最後に来てから二週間程お会いできてなかったので、私が何かやってしまったのかと…。』
「っ、あぁ、なんでもないですよ。ただ…俺の方が忙しかっただけで。」
『そう、なんですね。良かったぁ…。』

杠葉さんは安心したのか、えへへと笑った。俺の勝手な行動で心配をかけていたのか。申し訳ない。…まぁ、これからはガンガン通いに行くつもりだから別にいいのだけれど。

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ブーゲンビリア・・・貴方しか見えない

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作者名:モチモチな餅。 | 作成日時:2022年1月2日 14時

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