◎残雪_br ページ44
(雪シリーズ)
『ぶ、ぶるーく…お願いだから手離さないでね…?』
「分かってるよぉ。でもどっちかが転けたら巻き添えだからね?Aも気を付けるんだよ?」
二人で手を繋ぎながらそっと道を歩く。雪が降った後の道は凍っていてとても滑りやすくなっている。雪用の靴を履いてきたのだがダメだった。地面がツルツルしていて今にも転けてしまいそうだ。
「うーん、これじゃあ時間かかっちゃうなぁ…おんぶする?」
『いやいや、そっちの方が危ないからダメだよ!』
「あは、そう言うと思った〜。そしたら…一回喫茶店でも入る?」
彼がそう言って指さしたのは数メートル先にある喫茶店で。あまりの歩きにくさに変な筋肉を使っていたのでありがたかった。
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『っはぁ…温かい…。』
「ふふ、ココア美味しい?」
『ん、美味しい。』
私が頼んだクリームの乗った温かいココアはとても美味しくて身体が温まった。彼も温かいのを頼んだようで頬が少し赤い。
「A、手貸して。」
『うん?いいよ。』
何事かと思って彼に手を差し出すときゅ、と掴まれた。彼の手は指先までしっかり暖まっているが、私の指先はまだ冷えていて。じんわりと温もりが伝わってきた。
『えっ、あったかーい…。』
「Aが冷た過ぎるんだよ。ほら、しっかりあっためて!」
まるで効果音がつきそうなくらいぎゅーっ!と手を握られてつい笑ってしまう。それでも彼は本当に真剣な顔で私の手を握っていた。
『大丈夫だよぶるーく。もう暖かいよ。』
「えー、ほんとに?まだ冷たいのに…。」
『ぶるーくの優しさで芯まであったまったから平気。』
私がそう言うと、彼はちょっとぽかんとした後目を泳がせて恥ずかしそうにはにかんだ。
「いや、あー…そういう風に言われるとは思ってなかったなぁ…。」
『え、そう?』
不思議な点でてれられて私がびっくりしてしまった。今日だけは私が一枚上手だった…のか?
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これにて雪シリーズ終了です。リクエストありがとうございました。
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作者名:モチモチな餅。 | 作成日時:2021年12月17日 20時