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きんときが私の肩を掴んで振り返らせた。抑えていたはずの涙が、また落ちていく。目の前には酷く混乱したきんときの表情が見えた。
「浮気って、何。そんな事してないけど。」
『だって女の人と、手繋いで、歩いてたじゃん。』
凄い綺麗な人だったから私はもういらないと思って。そうやって応えると、きんときは少し考える素振りを見せてから、何かを思い出したかのようにハッとした顔をした。
「それ、この人?」
『え…あ、多分。』
彼のスマホに映っているその人の写真。ちゃんとは見れなかったけど、こんな人、だった気がする。その瞬間、少し思ったことがある。この人、なんか、
『きんときに、似てる…?』
「あはは、そう。俺が言わなかったのがダメだったね。…これ、俺の姉なの。」
『あ、ね。』
勘違いさせてごめんね、と言いながら抱き締められた。安心からか、全身に入っていた力が抜けた。それを支えるように彼の腕の力が少しだけ強くなった。
「びっくりさせちゃったね。言っとけばよかったね。」
『んーん、私が早とちりした、ごめんね。』
「…お願いだからもう、捨てて、なんて言わないで。」
きんときはそう言って私の顔を覗き込んだ。彼の瞳には一抹の不安が見える。もしかして、私が彼を突き放したのを引き摺っているのだろうか。
『うん。言わない、もう言わないよ。』
「ありがとう。そう言ってくれて安心した。…絶対、浮気なんかしないからね。」
『…私も、しない。』
やくそく、と言って二人で指切りげんまんをした。きんときのお姉さんには悪いけど、ほんの少しだけこんなことがあって良かったな、なんて思ってしまった。
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またまたknさんですみません…書きやすいんじゃあ…😇そう言えば浮気ドッキリ(仮)逆ver.終了です。リクエストしてくださった方々、ありがとうございました。
良ければ一番右のお星様を押していただけると嬉しいです( . .)"
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作者名:モチモチな餅。 | 作成日時:2021年12月17日 20時