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◎仮構_br ページ35

(お別れドッキリシリーズ)(エイプリルフールネタ)

『ぶるーく、お願いがあるの。…私と別れて欲しい。』
「………は?」

こんなことを私が言い出したきっかけは、本当に単純だった。今日がエイプリルフールだからという、凄く純粋な動機だった。私の目の前にはぐらぐらと綺麗な紺碧色の瞳を揺らしている彼氏の姿が。かなり動揺しているようだ。私からしてみればかなり珍しい姿だ。いつもは嘘なんてすぐ見抜かれるのに。

「なん、で。僕のこと嫌いになっちゃった…?」
『…嫌いじゃないけど、好きじゃない、の。他に好きな人出来たの。』
「誰それ、」
『……なかむ君。』

ごめんなかむ君。すごい巻き込みましたごめんなさい。まさかこんなギチギチに問い詰められるなんて思ってなくて、ぱっと思いついた名前を言ってしまった。まぁ浮気とかいう話じゃないから大丈夫、だよね…?

「なかむが好きなの?なんで僕じゃダメなの、何がいけないの?」
『ちが、ぶるーくは何も悪くないよ…ただ私の心が移り変わっちゃっただけで、』

いや、言いながら思ったけど私クズだな。なんだ移り変わっちゃっただけ、って。一途の"い"の字もないじゃん。1人で脳内ツッコミをしていると彼にぎゅっ、と抱きしめられた。そして少しして聞こえる鼻を啜る音。…えっ?

「やだぁ…我儘かもしれないけどやだよぉ…ん"っ、僕は、Aが、Aじゃなきゃ、嫌なの…。」

彼は私の背中に手を回して弱々しい力で洋服を掴んできた。初めて見た彼の姿に私の頭は思考停止した。慌てて彼を引き離し、頬を両手で包んだ。彼の目には未だに涙が浮かんでいて。

『ぶ、ふるーくごめん!違うの!』
「っぅ、何が…?」

鼻を啜りながら縋るような目で見つめられて。これはちょっとやりすぎたかな、と反省した。

『本当は別れたいなんて思ってないよ。好きなのはぶるーくだけ。今日、エイプリルフールだから。』
「…え。」

彼はすぐにスマホを取り出して日付を確認した。そこに表示されたのは4月1日の文字。ゆっくりと彼が満面の笑みを浮かべて私を見つめた。…あ、これは。

「Aチャン?嘘ついて楽しいですかぁ?」
『ごめんなさーい!』

悪戯心だったんです!

______________________

仮構_かこう
・・・実際にはないことを存在するものとして仮に作り設けること。

夜遅くに失礼ました🙇‍♀️

◎所有印_shk→←正月_wt



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作者名:モチモチな餅。 | 作成日時:2021年12月17日 20時

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