慕って染まる短編集【WT】 (ページ29)

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◎親子_nkm ページ29

(出産・子育てシリーズ)(愛して染まる短編集【WT】にて旦那、奮闘中_nkmの続きです)

出産予定日の2日前。突然やってきたお腹の痛み。今までに無いくらい痛くて、慌てて庭で洗濯物を干していた彼を呼んだ。

『な、かむ！』
「Aどうしたの…って、え!?陣痛始まっちゃった!?!!」
『そうみたい、』

なかむは大慌てで私を病院に連れて行ってくれた。慌てすぎて二回くらい壁に足ぶつけてたのを見逃さなかったぞ、私は。そのまま病室に入り、検査を受けた。そろそろ産まれてもおかしくないんだそう。ベットの上で一息つくと、彼は私の手を握ってくれた。優しさが沁みて、心に少しだけ余裕が出来た。

がしかし、子どもは待ってくれないようで。すぐにまた陣痛が始まって分娩室へと運び込まれた。そこから何時間、いや何十時間掛かったか。もう訳が分からなかったけど、隣でなかむが「大丈夫だよ、大丈夫。」と声をかけてくれたのだけが鮮明に頭に残っていた。そして_______

「おぎゃあ、おぎゃあ！」
[おめでとうございます。元気な男の子ですよ。]
『は、あはは…良かった…。』
「良かったね、頑張ったねA…！」

隣を見ると、なかむは顔がびしょびしょになっているというレベルで泣いていた。思わず吹き出してしまったけど、それ程嬉しかったんだろう。

『なかむ抱っこしなよ。』
「え、いいの？」
『いいよ。なかむ、ずっと支えてくれたもん。抱っこしてあげて。』

彼は助産師さんに促されるまま我が子を抱っこした。なかむの目から落ちた涙が赤ちゃんをくるんでいる布に落ちた。

「はは、ヤバいな〜俺…めっちゃ幸せ。」
『私も幸せだよ。』

そう言って彼に向かって笑いかけると、それはもう嬉しそうな笑顔を見せてくれた。私が入院している間はメンバーの人と協力して家事や私のお見舞いに来てくれた。さすが私の旦那だなぁ、なんて感心してしまった。子どもが生まれてパパらしさも出てきて、私はただただ彼に惚れ直すしか無かった。