◎落涙_br ページ27
(慰めシリーズ)
ポタリと落ちた雫は、果たして涙だったか雨だったか。そんなのももう分からないが、雨の中私は家へと帰ってきた。傘はあったが、折り畳みだったので突風による雨は避けきれなかった。
『ぅわ、もう靴下まで…。』
靴を通り越して靴下までびしょびしょだった。玄関先で部屋を眺めてふぅ、と息をついた。こんな濡れた状態で脱衣所まで行っても廊下が濡れるし…かと言って脱衣所に向かわない訳にも行かない。どうしたものかと頭を悩ませていると、頭の上にぽふと何かが乗った。
『え…?』
「はぁい、お帰りなさい。…はは、僕が居るの忘れてた?」
目の前に映ったのは彼氏であるぶるーくの姿。頭をフル回転させて今の状況を整理した。…そう言えば彼が今日の夜、家に来るとか言ってたような、
「ほら、ただいま、って言って?」
『…ただ、いま。』
彼に釣られるようにそう呟くと、私の涙腺は決壊した。瞬きをする事に落ちていく涙。彼は戸惑うことも、怒ることも何もせず優しく私を包んでくれた。ふわりと香った彼の香りに涙腺はまた刺激されて。
『ぶる、っく、ぶるーく…!会いたかった、つらかったよぉ…!』
「うん、うん、僕も会いたかった。遅くなっちゃってごめんね。良い子だね、良い子。」
めちゃくちゃに泣いている私に対して良い子だと言ってくれる彼は優しすぎる。限界が来てもわがままを言えないような、面倒な私なのに。そんな私をも包んでくれる。彼の服をギュ、と掴んで声が枯れるんじゃないかっていうほどに泣いた。その間も彼は静かに私の頭を撫でて抱きしめてくれた。
ようやっと落ち着いた頃、彼は私からゆっくりと離れた。
「ん、服脱げる?お風呂入ろ?」
『…入ってくる。』
「何言ってるの?僕も一緒に入るよ。」
『えっ、』
彼の顔を見るとその目は嘘をついているようには見えなくて。私はそのままポカンとした。
「今日はずっと一緒にいてあげるから、ね?」
『お、お風呂まで一緒じゃなくても、』
「僕が一緒に入りたいの!ほら行くよ!」
手を引かれてそのまま脱衣所まで向かう羽目になった。優しい彼は、少しだけ強引で。でもそんな彼も好きだからどうしようも無いよね。
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中編の方を書いていたりタスクが多くて更新できてませんでした、申し訳ないです…💦 待ってまだknさん書いてなかった…!ちょ、書いてきます…
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作者名:モチモチな餅。 | 作成日時:2021年12月17日 20時