検索窓
今日:68 hit、昨日:122 hit、合計:281,393 hit

◎悋気排除願_kn ページ20

(嫉妬シリーズ)

『…む。』

前々からちょっと思っていた。彼、きんときは"ワイテルズ"というグループでゲーム実況者をしている。そんな彼らの動画のコメント欄。見なきゃいいのに、という話なんだろうけど私だって一視聴者なのだ。見てしまうものは見てしまう。

コメント欄にズラっと並ぶ"かっこいい"やら"可愛い"の文字。いや分かってますよ。私の彼氏かっこいいもん。でもさ、でもさぁ〜…

『私が一番わかってる、はずなんだけどなぁ。』

ソファに蹲ってスマホを放りだす。あー、やだやだ。こういう思考回路は本当に捨てたくなる。ふにゃと笑うあの笑顔も、甘えると柔らかくなる声色も、キスすると口の端から漏れる吐息も私かだけが知っているのに。なんだか遠い気がして悲しくなる。

『…あれ、』

気付けば目に涙が溜まっていて。いつからこんなに嫉妬深くなってしまったのか。慌てて拭うも次から次へと落ちてくる雫。どうしたら止まるのか考えている時、私のじゃない、細い指が涙を拭った。

『っ、きんとき、』
「…どうしたの?」

彼はそれだけ言って私の涙を全部拭き取った。あまりにも突然現れたものだから私の涙はそのまま引っ込んでいった。困惑している私を他所に、きんときは私の背中に手を回して優しく抱きしめた。柔らかい香りが鼻腔を擽った。

「よしよし、大丈夫だよ、大丈夫。」
『ぇ、』
「俺はここに居るよ。Aのすぐそばに居るからね。」

耳元で囁かれて、ついさっきまであったはずの刺々しい嫉妬心が溶けていく。なぜ彼はこんなにも優しいのだろうか。

『きんとき、ごめんね。ごめん。』
「んー?何が?」
『こんなに面倒な彼女でごめんね、』

小さく呟くと、彼の腕の力が一層強くなった。さらに近くなる距離に比例するかのように心臓が音を立てる。

「面倒なんて言わないで。俺はAがいいの。…俺だけの、A。」
『…ほんと?』
「ほんとのほんと。約束。」

そう言って唇の端にちゅ、とキスが落とされた。最初にあったはずの嫉妬心は、ベットの下にでも隠れてしまったんだろうか。

______________________

knさんとshkさんの嫉妬を慰めるシリーズ終了です。リクエストありがとうございました。

◎虚言_nkm→←◇



目次へ作品を作る
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (366 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
957人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:モチモチな餅。 | 作成日時:2021年12月17日 20時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。