◎暗涙_nkm ページ15
(慰めシリーズ)
落ちた雫は、シーツに染みて。何故こんなにも辛いのか。頑張って、頑張って、頑張り抜いて。それでも評価されないから?「見返りを求めるな」なんて言うけれど、一方的な努力ほど虚しいものは無い。会社でどれだけ案を出しても、書類を早く終わらせても後輩が我が物顔で上司に渡して。そのお陰で同僚にも笑われて。…苦しくて、辛かった。もちろん優しい人は沢山いる。でも私はひねくれてるから、それすらも嫌な風に捉えてしまう。
『…もうやだなぁ。』
はぁ、とため息を着く。今日は余りの辛さと頭痛によって会社を早退した。弱いなぁ自分、なんてさらに嫌悪感。そうやって頭を悩ませていると、部屋に鳴り響くスマホの着信音。視線を寄越すと、画面に映っている名前は彼氏のもので。
『…っ、もしもし。』
"「あ、出た!もしもし?!大丈夫?」"
『え…?』
"「さっき会社まで迎えに行ったんだけど受付の人に早退されました、って言われて…どしたの?具合悪い?」"
まさかの言葉に思わず押黙る。よりによって今日迎えに来ちゃったのか…。そういえば前になかむが迎えに来た時、同僚が彼を見て「彼女があの子とか、彼氏さん可哀想〜!」なんて話してたっけ。…あぁ、またよくない思考回路に行ってしまった。すぐに頭を振って口を開いた。
『んーん、大丈夫。ちょっと頭痛かっただけだよ。』
"「…ねぇ、また何か言われたの?」"
『、』
前から彼には職場がしんどいと相談していたのだ。彼はあの職場は黒いから辞めた方がいい、と言うけど私にとってはどうしてもそうは思えなくて。残業もほぼ無いし、ホワイトだと思うんだけど。こうやって言うとなかむは「職場に染められてるよそれ!」と本気で心配してくれる。勿体ない彼氏を持ったな、とつくづく思う。
"「今Aの家の前に居るから。」"
『え。』
"「ドア、開けて?」"
ゆるりと優しい声で言われて驚く。覚束無い足取りで玄関に向かうとふにゃ、と笑っている彼の顔が見えた。
「…お疲れ様。」
『なかむ、』
「お願い、もう辞めて。俺がAの事支えるから、お願い。」
彼に懇願されては、私もたまったもんじゃない。…もう、君に甘えてもいいかな。
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暗涙_あんるい
・・・人知れず流す涙。
最近、甘々なお話と切ないお話を交互に出して読んでる皆様の情緒をぶっ飛ばすのが趣味です(え)
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作者名:モチモチな餅。 | 作成日時:2021年12月17日 20時