◎容貌_kn ページ2
職業柄、私は人の顔をまじまじと見てしまう癖がある。私は簡単に言うとメイクをする事を職として働いている身である。そうするとどうしても人の顔をじっと見てしまう。この人はこんな色のアイシャドウがいい感じにのるな、とか。あの人の口紅はもう少し明るい方が似合うのに、とか。失礼だと思って何回も治そうとしたが、職業病とでも言おうか。どうしても治らないのだ。ほら、今日もまた。
((…あの人、カラコン入れてるんだろうけどもっと茶色強めでもいいのになぁ。あ、でもメイクで均一を保っている…?え、すご。))
そんなことを考えながら目の前に置いてあるカフェラテを一口飲んだ。その途端、私の視界は肌色で染った。
「まーたよそ見してる。」
『…あはは、ごめんねきんとき。』
「別に怒ってないからいいけどさ。」
そう言って苦笑するきんときは私の彼氏だ。今日はデートの日…なんだけれども。私はこういう日でも他の人ばかり見てしまう。最初の頃はきんときが他の男に目移りしているのかと勘違いして説明するのにだいぶ時間がかかった記憶がある。
「ほら、冷めちゃうよ。」
『あ、やば。』
頼んだパスタが冷める前に一口食べた。トマトケチャップの味がして美味しい。
[こちらのお皿、お下げしても宜しいでしょうか?]
「あ、お願いします。」
ふと男性の店員さんがきんときが食べ終わったあとの食器を片付けに来た。私は反射的にその顔を見つめてしまった。
((そう言えばこの間メイクしたアイドルの人もこの人くらい肌白かったんだよな…やっぱ顔立ちがいい人はメイクそんな濃くしちゃダメだよね。素材を生かさないと。…それを根本にするときんときもメイクとかそんなしなくても十分イケメンなのでは?))
ポーっとしているとどうやら店員さんはいつの間にか居なくなっていた。その代わりにいたのは、心底不満です、みたいな顔をしているきんとき。…これはやっちゃったかな。
「俺もさぁ、Aの職業はある程度理解してるつもりだよ。それでもさ、そんなに他の男の人見てると、疑っちゃうから。今だけでいいから俺の事だけ見て。それかメイクの事考えるなら俺の顔にして。」
『…うん、そうする。』
今一瞬、その整った顔にどんなメイクが似合うか考えてしまった私をどうか許して欲しい。
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ふかやのさん、リクエストありがとうございました。甘々要素は何処へ…??
良ければ一番右のお星様を押していただけると嬉しいです。
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作者名:モチモチな餅。 | 作成日時:2021年12月17日 20時