溺れて染まる短編集【WT】 (ページ9)

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◎嫉_sm ページ9

(推し嫉妬シリーズ)

私は最近、アイドルグループにやたらハマっている。最初は興味本位で見たのが始まりだったのだが、気付けば沼に片足を突っ込んでいて。後戻りはできないことを悟った。

『推しがカッコイイよぉぉﾞ…何でこんなにキラキラして見えるのぉ…。』

クッションに顔を埋めながら悶える。こんな所を彼氏に見られなんてしたらこの世の終わりだ(色んな意味で) テレビでぴょんぴょんしながらキラッキラの笑顔を振りまいている自分の推しを眺めていると、後ろから襲いかかる負のオーラ。ゾッとしすぎて振り返れなかった。

「なにしてんだ？」
『ﾋﾟｪ。』

上から覗き込んできたのはドス黒い笑みを浮かべたスマイルで。…一瞬でやったな、と思った。

『いやぁ〜…ちょっとテレビ見てました。』
「ニヤニヤしながら？カッコイイとか叫んでたよな？」
『ごめんて。』

バレてた、すっごいバレてました。え、もしかしてあんな変な声出しながら悶えてたのバレてる？これ。それはちょっと大変なことになってるのでは？？

一人で現実逃避をしていると、いつの間にかテレビは消され、スマイルが私の目の前に移動していた。あまりの行動の速さに固まる。

『えっ、と、スマイルさん？』

「何。」

『凄い距離が近いと思うんですけどなんででしょう。』

「…何でだろうなぁ？」

ニコリと笑みを浮かべてから彼は私の顔を両手で挟み込んだ。いや、待ってくれ。こいつもしかしなくても嫉妬してる？？え、あのスマイルが？(失礼)

『嫉妬してるんです？』
「は？」
『あっ、ごめんなさいなんでもないです。』

スマイルの低音の返事に思わず口を噤んだ。やっちまったなこれは。彼は思いの外、嫉妬深い方だ。付き合う前までは知らなかったこと。本人曰く、付き合う前は相当我慢してたとか。いや嘘でしょ。そんなポーカーフェイスで言われましても。…なんて思っていた時期がありました。

「今日一日はテレビ見んな。」

『えぇ？』

「拒否権ねぇから。」

『あっ、ハイ…。』

まぁ少しの我儘くらい許さないと、相殺されないもんね。

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これでアイドルに嫉妬シリーズ終了です。次のシリーズは両片想いです。

なぜsmさんはギャグ線に寄ってしまうのか。