◇ ページ8
「パパ！ 抱っこ〜!!!」
「ちょ、急に抱きつくなよ。びっくりするだろ…。」
「ごめんなさ〜い！」
『あはは、元気すぎるでしょ。』
あれから早…五年程だろうか。双子の娘と息子は元気いっぱいに駆け回っている。娘の性格は彼に、息子の性格は私に似たようだ。目元は彼そっくりだけど。
「ほら、ママのお手伝いしてこい。」
「パパは何するの？」
「パパはご飯作るから。ほら、洗濯物畳んでこい。」
「はーい！」
『ちゃんとお手伝いできて偉いねぇ。』
そう言って駆け寄ってきた二人を撫でると、幸せそうな顔をされた。うんうん、元気で何より。三人で洗濯物をたたみ終えると、彼の方も料理の準備が出来たらしい。結婚前は料理すら怪しかったのに、良く成長したなぁ…。
「…なんだよ。食べないのか？」
『いやぁ、パパも大きくなったなぁって。』
「ハァ??」
『なんでもないでーす。ほら、いただきますしよっか。』
「こら逃げんな。」
スマイルからひらりと逃げて席に着く。今日はどうやら麻婆豆腐らしい。子供たちは嬉しそうにご飯を食べている。
「ママー！ そう言えばね、パパが寂しいって言ってたんだよ〜？」
『…えっ？』
「なっ、それは内緒だって言っただろ…!?」
「だってあんなパパ初めて見たんだもん。」
唐突な息子からの暴露にタジタジになるスマイル。寂しい、か。へぇ、珍しいことも言うもんだ。
『私が寂しい、って言ったらいつも知るか、って言ってデコピンしてきた癖にねぇ。』
「…るせ。」
スマイルは小声でそう呟いて照れ隠しのようにご飯を口の中に放り込んだ。すると、娘がはーい！ と大きく手を挙げた。
「今度私たちおばあちゃんのお家行ってくるからパパとママはでーと、してきていいよ！」
「ちょ、デートとか言う単語どっから…。」
「この間来たきりやんさんが教えてくれた！」
「きりやん…。」
『親になってもいじられキャラは変わってない、と。』
「だから違うって。」
彼は私をジト目で見つめてきた。まぁ、たまにはデートもいいかもね。
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作者名：モチモチな餅。
| 作成日時：2022年2月13日 22時
