検索窓
今日:22 hit、昨日:57 hit、合計:207,508 hit

◎身内_sm ページ7

(リクエスト!!)

妊娠発覚から約九ヶ月。体調が優れなかった私は入院が決定した。大体十ヶ月が正期産らしいけれど、私は早産になりそうだとお医者さんから言われた。おかげでスマイルには迷惑ばかりをかけている…と思う。彼は迷惑だとかなんだとかハッキリ言うタイプだから言わないのは我慢させているのかな、と少々心配になるのだ。

「…ん、着替え持ってきた。」
『ありがとう。…撮影は?』
「今は溜め録りで何とかしてるし、アイツらも分かってっから。Aは自分の心配しとけ。」
『…うん、ありがとう。』

私がそう言うと彼は少しだけムスッとした顔をして私の頬を摘んだ。結構痛いんだよな、これ。

「まーたどうせ迷惑かけてる、とか思ってんだろ。」
『いや、まぁ…。』
「俺はAが元気ならなんでもいいんだよ。これくらいの事で別に嫌になったりしねぇし。これからあと何十年の付き合いだと思ってんだよ。それくらい遠慮すんな。」
『…ふふ、スマイルってそんなこと言う人だっけ?』
「ハ? なんも変わってねぇだろ。」

スマイルはそう言って棚に洋服をしまった。ほんと、成長というか、変わったというか。まぁ好きなことに変わりはないんだけど。

それから暫くして、突然の陣痛と破水。しかもよりによって、それは深夜帯に舞い起こった出来事だった。

『は、ぁ______っ、』
[Aさん! すぐに分娩室に移動します。旦那様にはこちら側が連絡するので_____]

呼吸をするのが精一杯で看護師さんの声は半分くらい聞こえていなかった。しかも私が妊娠していたのは双子だ。帝王切開になるらしい。いや、ほぼ聞こえてないんだけどさ。

[大丈夫ですよー、あと少しの辛抱ですからね〜。]
『…は、い、』

返事をするのが精一杯で頭がぐるぐるする。横からガタンっ、と音がして、ちらりとスマイルの姿が見えた。どうやら電話で飛び起きたらしい。

「A___っ、」

彼の声で安心してしまったのか、そこからは記憶が曖昧で。次に気がついた時には、出産を終えた後だった。

「…A、ちゃんと産まれたって。」
『そっか…そっか、良かったぁ。』

思わずそのまま涙が出てしまう。そんな私の頭を撫でた彼も、目元に光るものが見えた。

◇→←◎大人→恋人_kn



目次へ作品を作る
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (398 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1095人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:モチモチな餅。 | 作成日時:2022年2月13日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。