◎展望台_kr ページ45
展望台って、行ったことないんだよね。
今日行くデートは、この会話から始まった。テレビで特集を組んでいて面白そうだった展望台デート。私がそれを持ちかけたら、彼は二つ返事で了承してくれた。
『うわぁ〜、広い…！』
「思ったより高いんだね、ここ。」
ビルの屋上から見る外観はめちゃくちゃに広くて、語彙力を失うくらい綺麗な景色だった。私が窓から外を見つめていると、後ろからひしひしと感じる視線。
『…なぁに、きりやん。』
「んー？ 別に何も。」
そう言ったきりやんはくふくふと笑いながら私の横に並んだ。バーッと見えるビルの灯りが綺麗で、まるで星空を街に落とし込んだみたいだった。
『あ、あそこ私の家かなぁ。』
「じゃあ俺の家はあっちか。」
『家そんなに近くないけどここから見ると近く見えるねぇ。』
そう言いながらボーッと外を眺めていると、彼の手が私の手に当たった。一瞬驚いたけど特に気にせず外を眺める…が。
『っ、』
「…はは、かわい。」
するりときりやんの指が手に絡まってきてあっという間に恋人繋ぎにされてしまった。付き合ってもう三年経つからあんまり意識しなくなったけど、やっぱり私は彼のこの目に弱い。そしてゆっくりと手を絡めてくるのも。恥ずかしくて顔を背けると、きりやんの顔が近付いてくるのがわかる。
「俺の方、見てくれないの？」
『きりやんだって、外見なよ、』
「こっち向いてってば。」
『んむッ!?』
頬を手で掴まれて強制的に彼の方を向かされる。予想以上に至近距離で頬が熱くなる。さっきまで夕日が残っていたはずの空は暗くなっていて。
「…プレゼントあげる。」
『え、』
手を繋いでる逆の手からチャリ、と音がする。視線を落とせばそこには可愛らしい黄色のキーケースが。
「俺の合鍵、ね。…結婚を前提に同棲とか、どうですか。」
最後にはちょっと照れが入ったのか、彼の方から視線がずらされた。でも今の私には合鍵とか結婚前提の同棲とか、嬉しいことが舞い込みすぎてそれどころではなかった。
『…きりやんと一緒にいられる？』
「うん。ずっと。」
そう言って笑った彼は、酷く嬉しそうで、泣きそうな顔をしていて。甘くて幸せな、空の景色が視界いっぱいに映った。
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オチを見失いました…
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作者名：モチモチな餅。
| 作成日時：2022年2月13日 22時
