◎寂寥_kr ページ31
(リクエスト!!)(誤字訂正)
「…さむ。」
一人でボーッと近くの喫茶店のテラス席に座りながらそう呟く。別に気温が、とかでは無い。隣が寒いのだ。…クサイって？ うるさい黙れ。持っていたコーヒーを一口飲んでスマホを取りだした。ホーム画面には彼女とのツーショットが写っている。あーあ、会いたくなるだけだわコレ。
たまたま友人に誘われて来た海外。今日はその友人が予定があるらしく一人行動だ。彼女も連れて行きたかったが、飛行機が苦手な彼女に海外は難易度が高かった。
(電話…。)
お互い滅多にしない電話。今日くらいかけても怒んないかな、怒んないよな。一人でそう完結して電話をかけた。
無機質な機械音が耳に響く。
「…はぁ〜。」
結局、彼女は出なかった。まぁ忙しいだろうし、通知をマナーモードに設定して気付いてないのかもしれない。そのまま机の上にスマホを放置してまた外を眺める。その時、今度は俺のスマホが振動を始めた。直ぐに手に取ると、画面に彼女の名前が浮かんでいて。
「っあ、もしもし!?」
"『も、もしもし？ きりやん？ どしたの。』"
電話越しに聞こえてきたのは柔らかくて、ふにゃふにゃした声だった。ほんと、寝起きみたいな。
「あれ…もしかしたら寝起き？」
"『ちょっと〜、時差考えてよぉ…。』"
思わずあ、と声を上げてしまった。どうやら俺の頭はすっかり時差のことが抜け落ちていたらしい。
「マジでごめん…。」
"『んや、私もきりやんとお話したかったからいーよ。』"
ふへへ、というAの緩い笑い声で心が落ち着いた。優しい彼女を持って良かったな、なんて。
「あと二日で帰るから。ちゃんと怪我とかしないで待っててね？」
"『本当に心配症だなぁ。大丈夫だよ。戸締りちゃんとしてるもん。』"
「怪我は？ してない？」
"『してないですよ〜。ふふ、きりやんも気を付けて帰ってきてね。』"
あぁもう、すぐにでも君の元へ帰りたい。
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寂寥_せきりょう
･･･心が満ち足りず、もの寂しいこと。
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作者名：モチモチな餅。
| 作成日時：2022年2月13日 22時
