◎大惨事_sm ページ20
(リクエスト!!)
配信真っ最中。たまたま横に置いてあるスマホが振動した。
"「お゙ぉい! 誰だよマナーモード鳴ってる奴〜!!」"
「わり、俺だわ。」
"「スマイルかよ。」"
「俺で悪かったな。」
きりやんの悪態に噛みつきながらスマホの画面をチェックすると彼女からの電話だった。珍しいな、と思いながら一旦電話を切ってメッセージを送ろうとした…のだが。再度電話がかかってきて、その拍子に電話に出てしまった。慌ててマイクをミュートにして耳を澄ます。
「…もしもし?」
"『すまぁ?』"
「……酔ってんの?」
電話越しに聞こえてきた声は酷く溶けていて、耳にやたらとまとわりついてくる。この滑舌の危うさといい、どうやら酔っ払いのようだ。
"『んふ、酔ってるのわかる?』"
「滑舌死んでんじゃん。あー、今どこ。」
"『えーっとね…スマイルの家の最寄り!』"
「そんなよってる癖にどうやって来たんだよ…。」
"「頑張ってきた!」"
半分呆れつつ、今から迎えに行くとだけ言って通話を切った。申し訳ないが彼女一人をこんな夜中に待たせる訳にも行かないので抜けさせてもらおう。そう思ってミュートを外した、その時だった。
「…え、ミュート外れて、?」
"「スマイルさ〜〜〜ん?? ミュート途中から外れてましたよ〜???」"
「……スーッ…マジで?」
"「大マジ。」"
きりやんとシャークんの言葉にシンプルに頭を抱えた。どうしてこう都合のいい時にミュートが外れるんだクソが。
「あー、後で事情は説明するんで…今はちょっと抜けていい?」
"「へいへい。いってら〜。」"
ざわつくコメント欄はみ無かったことにしてそのままパソコンの電源を切った。駅前に向かうと、Aがこちらに気が付いてぴょこぴょこと飛んでくるのが見えた。
『お疲れ様です!!』
「酔いすぎだっつの。ほら、荷物。」
『ありがとう〜。』
彼女が持っていたカバンを奪うように持ち、自宅へと向かう。…明日、なんて言い訳しようか、なんて。
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作者名:モチモチな餅。 | 作成日時:2022年2月13日 22時