◎慕情_nkm ページ16
(リクエスト!!)
朝起きて、一番に感じたのは喪失感だった。やたらに広いベッドに悲しさを感じた俺はもしかしたら女々しいのかもしれない。でもやっぱり…
「寂しい、よなぁ。」
友人と約束した旅行に彼女も連れてっていいよ、と言われたので彼女を誘ったのは良いものの、その日は仕事があるからごめん…とやんわりと断られてしまった。まぁ仕事なら仕方ないよな、と思ってそのまま来たんだけど。ホテルのベッドは新しい香りがしてどうも落ち着かなかった。
窓の外を眺めると綺麗な朝日が顔を出している。一応夕方頃の飛行機に乗って帰る予定だけど…。
「…電話、してもいいかな。」
今日は休みだって言ってたし。いやでも朝から電話なんて迷惑? 昨日何時に寝たか分からないし、この電話で起こしちゃったら申し訳ないよな…。色々考えて、考え抜いた結果。
「えいっ、」
もう勢いそのまま電話をかけるボタンを押した。もしこれで起こしてしまったら全力で謝ろう。そう思いながらAが電話に出るのを待った。
"『はいはい。なかむ?』"
「あっ、A? 起きてる?」
"『うん。起きてるよ〜。』"
電話の向こう側から聞こえてきた声はとても元気そうで、既に起きていたことに安心した。
「朝早いね。俺、今起きたばっかだよ。」
"『それなのに電話してくれたんだ?』"
「…だってなんか、寂しくて。」
気持ちを正直に彼女に伝えると、向こうがシン…と静まり返った。どうかしたのかと思って声をかけるが、反応が無い。
「A?」
"『っあ、ごめんね。ちょっと驚いちゃった。』"
「なんで?」
"『だってなかむが寂しいとか…あんまり言わないじゃん。』"
彼女に言われて今までの発言を思い返す。が、確かに言った覚えがない。
「逆に言えば今までは寂しいって思うくらい離れてなかったってことじゃん。」
"『それもそっか。…ねぇなかむ。』"
「うん?」
"『私も寂しいから…早く帰ってきてね。』"
その日の俺は夕方の便なんて待てず、お昼の便で即刻帰りました。
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慕情_ぼじょう
・・・異性を恋い慕う気持ち。
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作者名:モチモチな餅。 | 作成日時:2022年2月13日 22時