五十六枚目っ！ ページ7
まふまふ side
夢を見ていた。
起きると次の日になっていた。
当たり前のことだけど、何処か嬉しくて。
明日を見れなかった、初恋の人と
明日を見ようとしない、僕の友達。
僕の初恋の人を………殺した、
殺してしまった、僕の友達。
悪意があって人を殺した人が自分で自分のことを、殺人者なんて言うとは、思わないよ。
言い訳みたいになってるけどさ、僕だって辛かった。
寂しかった。何度も何度も、あっちに行こうとした。
でも、その度に僕は生きていて。
逆に、[死]とは全く正反対の方向へ進んでいってるようで。
それはかえって僕を苦しめた。
生きてたら、痛みもあるんだ。
ヤンキーに目をつけられて、暴力を振るわれて。
ボロボロになった体でその場に倒れこんで、目を閉じた。
あぁ、やっと死ねる
そう思って、また目を開けたら病院なんだ。
お母さんとお父さんが心配そうに僕の顔を除きこんでいて、視線がくすぐったい。
でも、ふわふわして気持ちよかった頭は、重くて、痛くて、頭に重りを乗せたみたいな感覚。
＿＿＿＿＿ともかく
あの子が死んでから、僕は空っぽになった。
頭の中にも、心の中にも、何も残っていない。
でも、歌い手を初めてからリスナーさん達のお陰で、僕の頭や心は空っぽじゃなくなった。
みんながくれた愛だとか、優しさとか、そういうもので。
Aだってそうでしょ？
いつも楽しそうだった。
嬉しそうに、笑ってた。
あの笑顔は嘘じゃない。
なるせくんも、そらるさんも、Aも。
笑顔に嘘をついていなかった。
勿論、のんも、ろんさんも。
＿＿＿＿＿きっと、
僕だけ、なんだ。
僕だけ、嘘をついていた。
Aのことが嫌いで、笑顔でも、心ではAのことを睨んでた。
僕は、みんなより汚れている。
憎んだ、恨んだ。
自分の笑顔に嘘をついた。
嫌った。
でもさ、もう分かんないんだよ。
どれが僕か、嘘か、偽物か＿＿＿。
他人から見ても、僕が見ても分かんない。
それほどまでに、表と裏はくっついていて剥がせないんだよ。
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作者名：亜蘭 | 作成日時：2017年5月10日 0時
