見えなくても（黄） (ページ14)

今日:9 hit、昨日:1 hit、合計:75,718 hit

14 ページ14

『あたしね、ずっとね亮ちゃんが羨ましかったの、

亮ちゃんって言うか、目が見える人全員ね。

だって、ずるいでしょ？
神様は星の数ほどいる人の中であたしにこんな試練を与えたの。

だから、昔から神様を恨んだよ。

憎んだよ。

何度も何度も嫌になった。

なんで、なんで、あたしなのって。

でも、そんなときにあたしのことをめちゃくちゃ分かってくれる亮ちゃんに出会った。

亮ちゃんは障害のあるあたしのことを凄く分かってくれようとしててすごく嬉しかった。

でも、なんか申し訳なかったの。

あたしのために色々させちゃってて。

そう思い始めたらね？

なるべく迷惑かけちゃいけないなって。

そう思って

いつの間にか頼ることを忘れてた。

でも、気づかないうちに溜まってたんだろうね。

昨日、亮ちゃんが居なくて初めて亮ちゃんの大切さに気づいたの。

あたし、だめだって。

亮ちゃんがいなきゃ何にも出来ないって。

凄く、部屋を探し回った。

どこにもいなくて、怖くなってきちゃって机のものぶちまけちゃって

あの時、あたし壊れてた。

あたしが、あたしじゃなくなってた。

あぁ、あたし捨てられたんだなぁって。

でも、今はねそんなこと思ってないよ。

さっき亮ちゃんが話してくれたように

頼ってもいいんだって思えた。

昨日、全部溜まってたものを吐き出したからかな。

すごくスッキリしたの。

ありがとう。』

一気に話したAの話を聞いて

凄く、涙が出そうになった。

「A…っ」

泣きそうっていうか泣いた。

そんな俺を見てAは

『なに、なんで、泣くの～』

なんて、Aもうっすら目に涙浮かべながら笑ってる。

もうとっくに冷めているであろう朝食を忘れて

俺らはしばらく笑い合った。