04.濃い一日 ページ6
教頭との話が終わり、澤村がこちらへ戻ってきた。
「幸いにも特にお咎め無し。謝罪も要らない。が、何も見なかったことにしろ。あと、えーっと……」
『あ、神崎と申します…』
「神崎さんも、巻き込んでしまって悪いが何も見なかったことにしてくれ」
『はい……』
「神崎さん、時間大丈夫か?」
「あっ!やばいもう行かなきゃ!失礼します…!!」
ぺこりと一礼し、Aは背を向け体育館を出て行った。
走るフォームが綺麗で何かしらのスポーツを嗜んでいそうな雰囲気だ。
華奢な身体とアンバランスなベースも、爽やかに揺れる茶髪も、絵になる。
「お前、あの美女と知り合いなのか?」
坊主────2年生の田中が食い気味にそう訊くと、日向は「同じクラスです」と答える。
「くっそ!羨ましい奴だぜ!!」
Aに関するやりとりはそこで終わり、再び日向ともう一人の1年生────影山が揉めてヒートアップし、キャプテン・澤村により部活出禁を言い渡された。
体育館の外で言い合い中にこれまた美人な3年女子マネージャーに遭遇したり、先輩相手に勝負を申し込んだり、田中の粋な計らいにより早朝練の約束をしたり…日向と影山にとって相当濃い1日となった。
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作者名:花雪 | 作成日時:2024年3月13日 22時