風光る【HQ】 (ページ39)

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36.ジト目ページ39

「つまりだ。もちろんAチャンのことは知ってたが、あのイケメンと同一人物だとは思わなかったってワケ」

音駒の勝利で終わったあと、日向の「もう一回」という言葉に対し猫又も「そのつもりだ」と返事し、そこから立て続けに試合が繰り返された。

さすがに一旦休憩をとろうということになり、各々休憩したり作戦を立てたり談笑したり、自由に過ごしている。

音駒の面々はAについて話していた。
先程Aと話していた黒尾、夜久、海の３年生組、そして研磨の４人は中学時代のAの試合で生で見たことがあり、皆選手として尊敬しているらしい。

「夜久がAちゃんの名前を出してくれたお陰で、''あ、たしかにあの神崎Aだ''って色々と一致して頭スッキリだわ」

「そりゃよかった。にしても、あの子ってあんな顔すんだな」

烏野の方をみると、日向や山口と話しながら柔らかく笑うAの姿があった。

「な。もっとこう、クールビューティーな印象だった」

「あの子、中学の時も普通に笑ってたよ」

「なんだ研磨？俺らに内緒で個人的に知り合ってんのか？お？」

「違う。試合の後、清風館の主将とフザけながら笑ってるとこ見たことあるだけ」

「なんだそれ。呼べよ！」

「一瞬だったし…」

・

その頃、烏野では…

「そういえば聞くの忘れてたんだけど、Aは音駒のこと知ってんのか？」

日向にそう聞かれ「残念ながら知らない」と首を横に振る。

「じゃあさっきトサカヘッドたちに絡まれてたのって、やっぱAが有名だからか？スゲーな！」

「ううん、あの様子だと大会の会場が同じだったのかも。多分それで見たことあって、知ってるだけだよ」

「同じ会場ってだけでここまで印象に残ってるのはすごいことだよ…」

山口の言葉に「やば…変なことしてんの見られたかな…」と呟くと、月島が「それはないデショ。天才なんだから」と言う。

「褒めてくれてるのだろうけど、ツッキーが言うと貶しに聞こえる」

「ツッキーって呼ぶな」

「ツッキー呼びって山口くんだけが許されてるの？特別扱いじゃん…大好きなんだね」

「やめてよ気持ち悪い」

ジト目でAのことを見つめるが、なんとなく月島がAに対して割と心を許している感じがして、AはAで烏野の部員たちとはもう普通に話せるようになっているのが分かり、周りは皆子どもの成長を見守る親のような気持ちになった。