30.ヘナチョコアタック! ページ33
その日は、町内会チームとの試合をキッカケに一連のゴタゴタが解消され東峰と西谷がチームへ戻ったり、坂ノ下商店の兄ちゃん────烏養繋心が音駒戦までの間コーチを務めることとなったり、濃い出来事のオンパレードだった。
部活が終わって片づけをする頃には時刻は20:00。
すっかり遅くなったが皆すっきりとした表情をしていて雰囲気も良い。
最後に円陣を組んだあと、東峰がAの元へやってきた。
「神崎…の、妹ちゃんだよな」
『…Aでいいですよ』
人見知り発動中ゆえ無表情で感情が読み取りにくい声のトーンをしているため、東峰は怖気づいたような表情をする。
「旭、あんまビビんな。この子は人見知りが激しいだけだ」
こんなに見た目強そうな人まで怖がらせてしまった…と内心焦ったが澤村がフォローしてくれてAはふう、と息を吐いた。
「でっ、でも、この前教室でスガとは普通に仲良く話してたしさっきも大地や清水と…」
「ヘナチョコアタック!」
「ぐえっ」
菅原の手刀が脇腹にヒットし悶えている様子をみてAは思わず吹き出す。
『ンフッ、すみません。澤村さんが仰るとおり人見知りで…。でも東峰さんとっても良い人そうだし今ので緊張も解けました』
さっきとは違いにっこり笑ってくれ、東峰も安心する。
洗練されていて大人びた雰囲気を纏っているが、笑うと少し幼くて一気に可愛い雰囲気になるのだ。
「昼休み、日向と影山がまた教室まで来てさ、色々と説得してくれたあと神崎も…兄貴の方も話しかけに来てくれて、それで体育館まで足が赴いたんだ。明日本人にも礼を言うつもりだけど、ありがとな」
『ゲッ、兄貴何か変なこと言ってないですよね?』
「大丈夫だったぞ。こっちのプレッシャーにならない程度に程よく背中押してくれたし。あ、でも''Aを頼む''だの''お前が結婚挨拶に来たらちょっと身構えそう''とか何とか言ってたな…」
『いやいやいや、十分変なこと言ってんじゃないですか!!ほんとすみません…今度からはそういう時しばき倒して良いですからね』
「前に兄貴の脛蹴った時も思ったけど意外とアグレッシブだなあ…!」
『兄貴限定ですよ!』
なんだかんだですぐ素の状態で話せているAを見て、澤村と菅原は「旭のくせに!」と東峰を肘で小突いた。
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作者名:花雪 | 作成日時:2024年3月13日 22時