21.及川徹 ページ23
「影山くん、あの優男誰ですか?ボクとても不愉快です」
田中が真っ黒オーラ全開で及川を指差す。
本人は二階席にいる女子に向けお手振りファンサ中だ。
「及川さん…。超攻撃的セッターで攻撃もチームでトップクラスだと思います。あと凄く性格が悪い」
「お前が言う程に!?」
「月島以上かも」
「それはひどいな!」
影山と日向の会話を聞いて、月島は眉間に皺を寄せる。
それを見ていたAから「ドンマイ」と言われ更に皺は深くなった。
「お前の知り合いってことは北川第一の奴かよ?」
「はい…中学の先輩です」
「やっほー!飛雄ちゃん久しぶり〜!おがったね〜。元気に王様やってる〜?」
及川が笑顔でこちらへ手を振ってくるが、東京出身のAは方言がよく分からず一人小さく首を傾げた。
「…俺…サーブとブロックはあの人見て覚えました。実力は相当です」
「殺人サーブの師匠!?」
「…けど今は試合に集中しろ。最終セット絶対とるぞ」
「おっ…おうよっ」
「あれー?そこのマネちゃん、もしかして神崎Aちゃんじゃない?」
『…え』
初対面の及川から急に名前を呼ばれ、びくりとする。
なんとなく自分の苦手なタイプだろうなあと思っていたので自然と顔が強張った。
及川は近寄ってまじまじとAの顔を見つめ、にんまりと口角を上げた。
「やっぱり!すごい、本物だ…!清風館からいなくなってると思ったら、まさか宮城に来て、しかも烏野なんかに入っていたとは…。写真や動画でみるより美人さんだね」
(※清風館:Aが通っていた東京のバレー強豪校)
「よくAちゃんのサーブをお手本にさせてもらっていたよ。こんなに華奢な腕であんな強打放っていたんだね」
及川がAの右手首を掴み、周りは止めに入ろうとしたがすぐ足を止めた。
Aから放たれる只者ではないオーラが、味方である烏野バレー部員たちまでも圧倒したからだ。
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作者名:花雪 | 作成日時:2024年3月13日 22時