19.威嚇 ページ21
練習試合のポジションが確定し本格的な話が進んでいくに連れ日向の緊張は高まっていった。
ジャージの上着を履こうとしたり、間違えて田中のズボンを履いたり、夜眠れなくなったり……
分かりやすく行動に現れて、いよいよ出発となった火曜日の放課後も一人アワアワとしていた。
移動中の車内で田中の股間に向かって嘔吐するという失態をおかし、周りも皆震え上がる。
烏野バレー部が到着した頃、青葉城西の部員ふたりが烏野について話しながら歩いていた。
「なぁ、今日来る烏野ってさ、アレが居るとこだろ?コート上の王様。お前、出身中学同じだろ?金田一」
「ああ…影山っスか?別に大したことないっスよ。確かに個人技は頭一つ抜けてましたけど、チームプレーってもんが根本的に向いてないんスよ。アイツ自己チューだから」
「へー。まあ行った先が烏野だしな。昔は強かったのか知らんけど烏野っつったらマネが美人て事くらいしか覚えてないし」
「マジっスか!?」
「あ、あとそういやガラの悪い奴いたな〜。坊主で目つき悪くてさ、アッタマ悪そうな顔して」
言いたい放題言われている田中本人がひょっこり出てきて威嚇し始めたのを皮切りに月島や影山、山口も加わって黒いオーラを醸し出していると、澤村が慌てて止めに入る。
「お前らっ!ちょっと目離した隙にっ!!…失礼しましたっ!田中その顔やめろ!」
無理くり田中の頭を押さえ謝っていると「澤村さーん」とAが小走りで寄ってきた。
そして相手校の人間がいることに気づき一瞬ハッとして無の表情になる。
人見知り発揮が分かりやすい。
「どうした?神崎」←かなり打ち解けてきて昨日あたりから呼び捨てになったらしい
『武田先生が呼んでます』
「分かった、ありがとう」
烏野メンバーがその場を離れ、金田一がそわそわした様子で「美人マネってあの子ですか?」と矢巾に聞く。
「いや、さっき俺が言っていたのはまた別の人。ありゃ今年入った子か?すげえ美人で度肝抜かれたわ…」
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作者名:花雪 | 作成日時:2024年3月13日 22時