風光る【HQ】 (ページ20)

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18.エースページ20

練習試合の際に影山をセッターとしてフルで出すという条件が提示されたこと、そして日程は来週の火曜日だということが伝えられた。

部活帰りに坂ノ下商店で澤村・菅原・影山でポジションについて話し合っていた流れで話題がAのことに移る。

「影山ってさ、神崎ちゃんのこと結構知ってんの？神様とか言っちゃってたけど」

「いや、知ってることは多分菅原さんや澤村さんと同じくらいです。他の有名な選手と比べるとメディア露出が少ないので。…でも、少ない情報量でここまで印象に残ってるあたりあの人の実力は確かだと思ってます」

「まあ、名前聞いて''ああ、あの選手か！''って思い出せるくらいだからな」

「影山はフルネーム連呼して怒られてたな」

フハハと菅原と澤村が笑っていると、店番係の兄ちゃんが「騒ぐなよー」と釘を刺す。

「フルネームが嫌な理由可愛かったよなー。てっきり目立つのが嫌なのかと思ってたらさ…」

────『みんなよく有名人とかのことフルネームで呼ぶじゃないですか。私はそういう扱いされたくなくて、普通に仲良くしたいと思ってるからフルネームだと距離感じて寂しいんです』

「素直な子なんだろうな。照れるけど褒めてもらえること自体は嬉しいって言ってたし」

「大地、神崎ちゃんと話してる時まるで父親みたいだよな」

「流石にそんな貫禄は持ち合わせてないべや」

影山がスマホの画面を見ながら「お…」と小さく声を出し、先輩二人がなんだなんだと覗く。

Aの名前を検索して出てきたページの一つだった。

中学時代の写真と一緒に「１年生エース」だの「怪物」だの「強烈インナークロス」だの強めの文言が書かれている。

写真を見るとやはり美形だが、髪型はショートヘアで顔つきは少し幼く中性的な雰囲気も纏っていて、今とはまた違った印象だ。

「本当にWSだったんだな。しかもエースって…」

「怖っ…神崎ちゃん怖っ…！」

「俺もセッターやってた頃の記事しか見たことなくて、中1の頃のことは知らなかったです。やっぱ只者じゃないっスね」

また今度本人から色々話を聞かせてもらうことにし、この日は解散となった。

外に出るとオレンジ色の空をバックにカラスが数羽飛んでいて、烏野のユニフォームの色味にそっくりだった。