17.ジャージ ページ19
「なら良かったべ!」
菅原がそう言ったとき、日向・影山チームが騒がしくなる。
トスとスパイクのタイミングがうまく合わず失敗続きのようだ。
「ちょっと先輩行ってきます」
そう言って「影山、そんじゃあ中学ん時と同じだよ」と切り出す菅原の背中は頼もしい。
思っていたことを良い感じに言語化してくれてAはスカッとした気持ちになる。
色々言い終えて戻ってきた菅原に「先輩お疲れ様です。超よかったです」と伝えると、「神崎ちゃんが俺にも結構心開いてくれた感じして嬉しい」とニカっと笑う。
その後はのちに変人速攻と呼ばれる影山・日向の攻撃が炸裂したり、田中がフリーでスパイクを決めオラオラしてるところを菅原・縁下・木下からいじられたり、それをみてAがケラケラ笑いまた皆の心臓を鷲掴みにしたり、2セットめで月島が服を1枚脱ぎ捨てる場面があったり……
紆余曲折あったが、試合は日向・影山チームの勝利で終わった。
無事に日向と影山も入部届を提出できたタイミングで、潔子が新入生分のジャージを運んでくる。
大興奮している日向に「よかったね」と声をかけていると、潔子が「はい、Aちゃんのも」と手渡してくれた。
『わあ、ありがとうございます』
「神崎さんも着てみてよ!」
『うん…!』
Aが自前のジャージを脱ぐと、黒地に白でエースの心得が記されているTシャツが出てきて「なんだそれ!かっけえ!!」と日向が反応する。
『中学ん時着てたの、楽だから今も部屋着とかにしてるんだよね』
「でも神崎さんってセッターだよな?」
『あー、元々WSやってたから…』
「すげえ!何でも出来んな!!」
Aが新品のジャージを纏うとそれがすごくオシャレなものに見え、周りは皆「素材が華やかなんだよなあ…」と心の中で感想を漏らす。
1年生全員がジャージを着て一段落したところで、顧問の武田が勢いよく体育館へ入ってきた。
「組めた!組めたよ!練習試合っ!!相手は県のベスト4!青葉城西高校!」
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作者名:花雪 | 作成日時:2024年3月13日 22時