09.入部 ページ11
田中と菅原の会話を聞いていると、澤村がやってきて「清水と神崎さんが準備してくれてる間に新入生がふたり挨拶にきたんだよ」と教えてくれた。
「今年は4人かな」
「そうなりそうだな」
『…あ、あの、入部届って主将にお渡ししたら良いですか?』
「お!神崎さん、マネージャーやってくれるの?」
『私でよければ…』
「大歓迎だ。俺に渡してくれたら良いよ。用紙は持ってる?」
『いま持ってるので、後で書いて渡しても良いですか?』
「勿論!」
澤村と清水が顔を見合わせ喜んでいると、田中が「まじ?!美人マネージャーがもう一人?!」と大歓喜し始めた。
そして菅原も駆け寄ってきて「神崎ちゃんありがとう!」と人懐っこい笑顔を見せると、Aもキュッと口角を上げ「お誘いに感謝です」と返した。
「そうか、スガが連れてきてくれたのか」
「ふはっ!俺のお手柄だな。まあ一番のお手柄は日向かもしれないけど!」
明日日向に良い報告ができることをAが嬉しく思っていると、菅原が思い出したように「あ!!」と声を出した。
「大地!神崎ちゃんさあ!あの神崎Aなんだべ!!」
「あの、ってどのだよ」
「ほら、あのー、俺らが1年の時にさ!テレビでみたじゃん!!東京の天才女子セッター!」
「……あー!思い出した!!どっかで見た顔だと思ってたんだ。これまたすごいのが入ってきたなあ」
『とんでもないです…』
「謙虚だなあ」
3年生組が盛り上がっていると片付けを粗方終えた2年生がなんだなんだと集まってきて、Aが全国優勝経験のあるセッターだという話があっという間に部内に広まった。
ちょうどその頃日向たち新入部員4人が外でバチバチとしていたことは、体育館内にいる部員は皆知らない。
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作者名:花雪 | 作成日時:2024年3月13日 22時