73.一番星 ページ35
MCなしですぐに3曲目が始まった。
棗が言っていたとおりベースの音が目立ち、Aの上手さが際立つ。
月島が「女子高生が弾くベースラインじゃないデショ。あいつ本当に高校生なの?」と呟く。
「月島がひねくれながらも褒めてるあたりやっぱAってすごいんだなー」と菅原が嬉しそうに反応するので、田中と西谷がニヤニヤしていると澤村に軽く小突かれた。
2曲目よりもキーが高いからか、普段の話し声に少し近くなった。
曲調が明るくなっても表情は変わらずクールで、未だこちらに気づく様子はない。
安定した歌唱力とベースのスゴテクを披露し、2番のサビが終わって棗のギターソロが始まる。
良い感じに音で遊びながらもしっかりリズム隊としての役割をこなして兄を支えた後は、Cメロへ。
今になって少し余裕が出てきたのか、Aは目線を上にやり改めて観客たちを見てみる。
思ったより人が集まっていて一瞬ひるむが、楽しそうにしてる人たちを見るのは嫌いではない。寧ろ好きだ。
目の前の光景を眺めながら落ちサビへ入った時、Aの表情が一気に変わった。
暗闇の中で一番星を見つけたみたいに、以前アイスの当たり棒を出した時みたいに、瞳がキラキラ輝いて口角が上がっていく。
Aとばっちり目が合った菅原は、一瞬驚いたがすぐ笑顔になり口パクで「頑張れ」と伝えた。
すっかりバレー部の面々と一緒にいる時のようなにこやかな顔になってそのまま歌いきり、最後まで巧みな演奏を披露して全ての曲が終わった。
出演してから一番派手に拍手と歓声が鳴り響いて盛り上がるが、時間が押しているようで挨拶もそこそこにメンバーはすぐにはけた。
しばらくすると別のバンドが入ってきて、明日からテストだしAたちもまだやることがあるかもしれないし、とバレー部一同は早めに解散。
数時間後、部の全体ラインにAから「来てくれてありがとうございました」というメッセージが入り、皆んなそれぞれ「よかったぞ」とか「ありがとう」とか「よっ、天才」とか…ホカホカの返信をした。
菅原個人には「スガさん見つけた瞬間緊張吹っ飛びました、救世主です」というメッセージが送られてきて、菅原は一旦勉強を放り出しクッションに顔を埋めて「やっぱりあの時俺のこと見てああいう顔してくれたんだ」と改めて色々思い出し悶えたらしい。
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花雪(プロフ) - ぴかちゅうさん» わー!コメントありがとうございます😭🙏🏻スガさん、カッコよくて優しくてお茶目で素敵ですよねー✨これからも楽しんで書いていきます!^_^ (3月30日 0時) (レス) id: a8344563be (このIDを非表示/違反報告)
ぴかちゅう(プロフ) - 菅さん推しにはたまらないです🥹 更新とっても楽しみにしています! (3月29日 23時) (レス) id: b911419e01 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:花雪 | 作成日時:2024年3月27日 17時