風光る 2nd【HQ】

71.成長中 ページ33

『うちのバレー部は、ここ数年''落ちた強豪、飛べない烏''なんて言われてきたそうですが…』


真剣な表情に戻り、また話し始める。


『もうそんなことは言わせません。今年度に入ってから確実に変わってて、今も絶賛成長中で……これから春高に向けもっともっと強くなる予定です。その為に東京の強豪校の合宿に参加したいのですが、悲しいかな遠征費が足りなくて…』

そう聞いた途端、バレー部一同は「えっ？」と声を漏らす。
仁花は拳を握り締めドキドキしながらAを見守っていた。

『寄付金を募りたいなと思い、今ここで私からお話させてもらってる次第です。入り口のところに掲示させてもらったポスターは、私の友達でマネージャー仲間の子が描いたものなので、まだ見てない方がいたら是非見てください。とっても綺麗な絵なので。寄付金関係の連絡先もそこに載ってます』


話しながら、ほんのり顔を赤く染めていくA。


やっちゃん〜〜！と皆んなが涙ぐみながら囲ってきてオロオロする仁花を潔子が救出した。

澤村は「神崎も、こういう場で話すの苦手だろうに頑張ってくれてんだなあ」と父親のような眼差しを向けている。


菅原はというと、Aが頑張って何か伝える時は顔が赤くなるというのを知っている為、感動しながらも可愛いなあという気持ちがあり口角が上がる。
(33話参照)


『話すの得意じゃなくて、うまく言えなくてすみません。それでも気になってくれた方がいたら、応援よろしくお願いします』

ぺこりとお辞儀をすると、拍手が沸き起こる。

そして棗が「俺の妹ホンット可愛いな！」と頭を撫でに行くとAはムスッとした顔になり、笑いが起こった。

「んじゃ、さっきも言ったように残り２曲はAが歌うのでヨロシク〜！コイツ歌すげー上手いし、特に2曲目はベースラインカッコ良すぎるからよく聴いてくれ〜！あ、俺のギターソロもあるから聴いてね！」

『兄ちゃんもういいよっ、早くやろ！』


再び笑いが起きた後、先程の曲とはまた違った雰囲気のイントロが始まる。

相変わらずベースの出音が凄く、素人耳でもかなり上手いんだろうなとなんとなくわかる。

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