67.大学生 ページ29
あれから数日経った土曜日。
仁花が駅の改札口で母にバレー部のマネージャーになると宣言した後、日向と別れて家に帰ろうとしていると少し離れたところからオーラのある美少女が歩いてくるのが見え思わず釘付けになる。
少女も仁花の視線に気づき、一瞬目を丸くしてから口角を上げこちらに駆け寄ってくる。
だんだん顔がはっきりと見え、その少女がAであることに気付いた。
『ひとちゃん、お疲れ〜』
「Aちゃん、こんにちは…!」
制服や部活着の時とは少し雰囲気が違い、ドギマギしてしまう。
白のふんわりとした膝丈ワンピに、黒いゴツめのブーツ、胸辺りまで伸びた綺麗な巻き髪。
背中には最近毎日のように背負っているベース。
軽くメイクも施しているせいかいつも以上に大人びていて、大学生のようだ。
「バンドの練習帰り?」
『そう!ひとちゃんもこれから帰るところ?途中まで方向同じだし、よかったら一緒に帰ろ〜』
「うん…!(笑顔可愛い…!)」
期末もうすぐだね、という話を軽くした後、Aが「さっきお母さんと話してるところたまたま見ちゃった」と言う。
仁花は途端に恥ずかしくなり、両手で顔を覆いながら「お見苦しいところを…」と悶える。
『部活入ってくれるのすごい嬉しい。改めてこれからよろしくね』
にっこり笑って手を差し伸べてくるので、そのまま手を重ねて握手した。
夕方の風がふたりの髪を揺らした後Aが少し真面目な表情になり「それでね、」と切り出す。
『この前、武田先生と烏養さんが話してるの聞いちゃったじゃん?』
「あの、遠征費の話だよね?」
『そうそう。皆んなあんなに頑張ってるのに、合宿に行けないなんて悔しいじゃん。どうしたらいいのかなってずっと考えてたんだよね』
「私、寄付を呼び掛けてみるのはどうかなって思って…それでちょっとずつポスターの下書きだけしてて…」
『ポスター?!すごいひとちゃん…!』
両手を握ってキラキラした瞳を向けられ、仁花はドキドキする。
なんだ、この美女。本当に大学生みたいだ。
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花雪(プロフ) - ぴかちゅうさん» わー!コメントありがとうございます😭🙏🏻スガさん、カッコよくて優しくてお茶目で素敵ですよねー✨これからも楽しんで書いていきます!^_^ (3月30日 0時) (レス) id: a8344563be (このIDを非表示/違反報告)
ぴかちゅう(プロフ) - 菅さん推しにはたまらないです🥹 更新とっても楽しみにしています! (3月29日 23時) (レス) id: b911419e01 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:花雪 | 作成日時:2024年3月27日 17時