風光る 2nd【HQ】

55.欲張り ページ17

音駒の猫又の計らいで、関東の数校で出来てるグループ────梟谷学園グループの合同合宿に参加させてもらえるようになったらしい。

「えーと、ただ向こうはインターハイ予選が今週末からなのですぐって訳じゃないです。あと、まだお誘いを頂いている段階でして、色々承諾をもらわないといけないことなど、細かいことはまたあとでお話しますね。とりあえず、皆の意思は？」

「「行きます！！！！」」

「じゃ、僕これから職員会議なので、いきますね。烏養くん、あとはよろしくお願いします」

「おう」


「忙しくなるな」

「だな」

「清水もな、初遠征だもんな」

「うん、私も頑張る」

いつもよりふわふわした表情で意気込む潔子を見て、遠征に向けて何か特別やるべきことがあるのかも…手伝わなきゃ…と思いAが声をかけようとすると、菅原が「Aは久々の東京？」と話しかけに来た。

『久々です！引っ越してきてからは行ってないから』

「そうなんだ。あ、帰省とかしないの？正月とか」

『あ〜、両親が元々こっちの人で、祖父母もこっちにいるから東京には行かないんです。たまたま親が東京で働いてたから東京育ちになっただけで、私もルーツは宮城なんですよ』

自分も皆さんと同じようなもんですよとでも言いたいのだろうか。ドヤ顔をしてくるのが面白可愛くて、菅原は笑ってしまった。


Aはというと、三つ編みポニテに触れてもらえないのが何故か寂しく思えてきて、心の中で少し混乱している。

３年生が引退せず残ってくれて嬉しいし、菅原とも気まずさとか無く普通に話せている(しかも話しかけてくれた)のに、なんで寂しいのだろうか。

自分は、欲張りなんだろうか。

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