そばにいさせて 4【怪盗キッド】

今日のハイライト 7 ページ21

人気のない道を進み、建物から離れていく。


私はポケットから宝石を取りだし、月にかざした。




「これも違うっぽい」


《そっか……。んじゃ返すか》



「うん」




私は胸ポケットからクッション材付きの封筒を取り出す。

そしてその中に宝石を入れ、封をした。





歩く足を早め、車や人が多い道に出る。


まだ緊張感が抜けないのか、息が荒い。

呼吸を整えながらポストを探す。




《なぁ、A》



「なぁに？」




突然快斗が話しかけてきた。

声が少し低い。



《やっぱり、俺と関わらない方がいいんじゃねぇか？》



「……なんでよ」




快斗の言葉に私はポスト探しをやめて、立ち止まる。




《Aが捕まるかもしれねぇって……考えたら…………》




だんだんと快斗の声が小さくなる。

最後の方はあまり聞き取れなかった。




白馬くんに捕まりかけた時、気が気ではなかったのであろう。

私はひとつため息をついて話す。




「捕まったらどんな手を使ってでも助けに来てくれるんでしょ？」



《……》



沈黙が流れる。


私はふふっと笑い、明るい声トーンで元気づけるように喋った。



「盗めないものは無いんでしょ？大怪盗さん」



《…………ﾌｯ,Aには敵わねぇな。……もちろん。私なら何でも盗んで差し上げますよ》






紳士的な声に心臓が跳ねる。

このギャップが素晴らしい。課金したい。




私は無事、ポストを見つけ投函する。

高い音がポストの中で響いた。



「返却完了！帰宅します！」



《A！》



「なんじゃ！」



《ありがとな！》



「どいたまやで！」



《という事で帰りにアイス買ってきてくれ》



「え、快斗の奢り〜？」



《ったく、しゃあねぇな》



「やったぜ！」



足が軽い。

私はルンルン気分で快斗の家へと帰宅した。









ーーーーーーーーー今日のハイライト fin

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