お揃いではなくリンクコーデ ページ9
腹を括った女は強いのだ。
深澤さんにテレビを見てもらっている間に
大急ぎで冷蔵庫の中を見て、昨日ミンチ肉を買っておいた自分に盛大に拍手した。
急いでハンバーグを作ってサラダと盛り付けて完成。
「いっただだきまーす」
どどどどどどうなんだ…と私は取り敢えずお茶お飲みながら深澤さんを盗み見る。
うっわ、やっぱ手綺麗だな。手モデルじゃん。
「めっちゃうまー!
だけどさ、流石にそんなに見つめられると食いづらいわ。わら」
にへら、と笑ってお茶を飲む深澤さん。
『尊い』
「おねぇさん、声に出てるよ」
『え゛!?』
ついTV越しに推しを見ていた感覚になっていて、ぽろっと言ってしまった。
「AちゃんがSnowManファンって言うのは知ったんだけどさ、それの推しって俺なの?
あー、自惚れとかじゃなくて、他の人にそうかもよって教えてもらって。
違ったら超はずいんだけど。」
『あ?え!?あ゛?はい、いいえ?』
図星の中の図星すぎて
街で推し遭遇したヲタクそのものの声を出してしまう
もはや今すぐ穴掘って埋まりたい。
「はは、いーよ。答えなくて。満足した。」
そして深澤さんは私の部屋を見回して、
もう一度私に目を戻した。
「2つ質問。
1つ。前借りた元彼の服は俺もらっていいよね?もう要らないって言ってたし。」
『あ、はい。どうぞ…』
「2つ目。元彼の服、他には?」
『えーっと、いや、無いですね』
「そ?じゃあいいや」
それだけ言うと、ごちそうさまでした。
と食器を片して帰る用意を始める深澤さん。
『あ、あの、もう帰っちゃうんですか?』
「なに?今帰らなかったら俺朝まで帰んねぇけど。」
玄関で振り向きざまに帰ってきた返事は笑ってなくて。
は、っと息を呑む。
「嘘、って言ってあげたいけど嘘じゃ無いし。
せっかくの善意に気づかなかったから、これくらい許してよ。」
そう言って気づいた頃には、
私の唇に深澤さんの柔らかいそれが触れていた。
「あ、そうだ。
俺が元彼のGUCCIの服奪っちゃったから、あれのレディースの服、あげる!
今日の収録終わり渡す予定だったんだよね。
俺の自己満だけど、許して。
あ、絶対インスタにあげてよ!メンバーに自慢すっから」
そう言って、私の家のドアが、パタリと閉まった。
顔に熱が篭って、パニックの私が思ったのは
なんだ、最初から服返すつもりないじゃん。
と言うなんともバカな感想だった。
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まや。、(プロフ) - はじめまして!続きがみたいです! (2021年7月18日 18時) (レス) id: 1021bfd2b8 (このIDを非表示/違反報告)
優希(プロフ) - はじめまして!面白くて一気読みしちゃいました。続きを書かれる予定はないんでしょうか? (2021年7月15日 18時) (レス) id: 4434fac4a4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りえ | 作成日時:2020年12月10日 8時