百聞は一見にしかず ページ23
「来るのおっせーよ！」
『ごめ、はぁ、階段きつい』
前を失礼、と翔太がとってくれていた席へと向かう。
今日はグリフィンドールvsスリザリンのクィディッチだ。
ちなみに彼は、日焼けしたくないから選手にはならないと豪語している。女子力。
「何してた訳？いい席取るの大変だったんだけど」
『に、逃げてた…！特別来賓席から…！！』
「あぁ、お疲れ…」
特別来賓席。
校長や教師の他にフィールド設備への寄付を行なっている貴族など、いわゆる関係者席。
そこに我が彼氏の親が来ている
と言うことは今日の朝、スリザリンの女子から聞いた。
普通ならご挨拶に、と思うが
先日の談話室の一件から、試合の後に別れる
と私の中では勝手に決めていた。
『流石に試合前に振るのは人としてどうかと思って』
先程までの逃走劇と、これからの予定を翔太に話すと
大丈夫、お前はもう人としてどうかしてるから
と慰め(？)てもらった。
「お！選手入場だ！」
どこからともなく流れる爆音の入場音楽と
急に吹く風に土埃を纏わせて
赤色と緑色のユニフォームがフィールドを飛び交う。
「『佐久間ーーーーー！！！！』」
小柄な金髪に向けて精一杯声を飛ばすと
こちらに向かってニカッと笑いながら
両手を掲げて箒で一回転した。
定位置について、笛が鳴ると同時に
地上にセットされていたいくつもの球が飛び上がる。
『箒って、あんな、スピード、出るのね…』
唖然。
「まぁ…お前の箒センスからすればそう思うよな」
お気の毒に、と言う翔太にはとりあえず
一発殴っておく。
箒を乗りこなすだけでも凄いのに
選手は球を投げる、打ち返す、奪う、避ける。
昨年まで見逃していたことがちょっと悔しくなる。
『なんかあのボール、重そう…』
「あぁ、暴れ玉な。昨年はスリザリン、あれを頭にくらって2週間ぐらい医務室にいた奴いたな」
『え…物騒…！！』
うわぁ、と青い顔してると
はぁ？という呆れた顔で翔太が見てくる。
なに、と聞き返そうとした時
バッと視界の端に入る赤い布と、
すぐそこでバキっともバコンとも聞こえる金属同士が当たる重い重い音。
驚いて顔を向けると見慣れた、
『ふっか！』
ボールをバットで打ち返した体制の彼と目が合う。
そしてニヤッと笑って自分が乗っている箒を指さす。
あ、あの箒…
「いや、医務室送りにしたの、あいつだからな？」
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浅野(プロフ) - 続きを楽しみにしてます！頑張ってください (2023年3月15日 12時) (
レス) id: 7738234d33 (このIDを非表示/違反報告)
菫(プロフ) - 素敵な世界観で一気に読んでしまいました！続きを楽しみにしています。 (2021年7月1日 12時) (レス) id: 53672676a1 (このIDを非表示/違反報告)
maya(プロフ) - めっちゃ面白くて今まで読んで、評価しかしたことなかったんですが、初めて感想書かせて頂きました！お時間あればぜひ続きが読みたいです！ (2021年4月16日 4時) (レス) id: fb06234f32 (このIDを非表示/違反報告)
薫乃(プロフ) - めちゃくちゃ好みのお話です！！更新楽しみにしてます！ (2021年2月22日 20時) (レス) id: 58fa025e8e (このIDを非表示/違反報告)
りえ(プロフ) - Abbさん» ありがとうございますー！とてもとても嬉しいです！魔法の世界について私も詳しい訳ではないので間違いなどかればご指摘ください！ (2021年1月18日 1時) (レス) id: 9a3bbadc3a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りえ | 作成日時：2020年12月22日 15時
