アニマルパニック ページ16
『フェラベルト』
弱った鼠に杖を向けると、
一瞬のうちに煌びやかな杯に姿が変わる。
尻尾も残らず、どこから見ても動物ではなくただの杯である。
「結晶A。お見事です。先程の佐久間、渡辺と合わせてスリザリンに3点です」
同じ長机に座った馴染んだ顔を見合わせてガッツポーズを取る。鼠にもう一度解除魔法をかけて自由にしてあげる。
2人は魔法薬学ではよく大爆発を起こしているけれど、変身術はそれなりにできるみたいだ。
『さぁ、今のうちにお逃げ。』
鼠の後姿を見送ると、横に座っていた佐久間が足をバタバタし始めた。
「あ〜暇だ〜早くアニメーガスまで辿り着きたい」
『アニメーガス？』
「そ、変身術みたいに物に呪文をかけるんじゃなくて
自分自身が動物になるの！ヤバくない？
自分で解呪も出来るし意識も人間のまま。…まぁ動物の姿の間は喋れないけど」
俺ら今ちょー練習してんの。
にひひ、と笑いながら自慢げに話してくる同級生に
あ、これはまた悪戯に使おうとしてるな。と直感で悟った。
『さてはSnowManみんなで練習してるんでしょ』
「そ、翔太なんて全然センスないの、ウケるでしょ」
言われている本人は佐久間の奥でうっせーと言いながら、机に伏せてもう寝る体制を取っている。
折角3点取ったのに減点されそうだな、
と思っていると減点の前に先生が飛ばした羽の生えたナイフが翔太の耳横の机へ刺さった。
「え、ちょ！パニックパニック！」
アニメーガス、いつか授業で習うのだろうか。
"結晶A、次は葡萄を林檎へ変えてみなさい"
目の前の課題に埋もれて アニメーガス と言う単語は頭の片隅に消えていくのだった。
授業は終わりの中庭に面した渡り廊下の途中。
数歩先の曲がり角から、アッシュグレーの毛並みをした猫が歩いてきた。
ウキウキとした足取りと、プリッとしたお尻が可愛くてついガン見してしまう。誰かの飼い猫かな？
目線を飛ばしすぎたのか猫がフ、とこちらを見て
ギョ！っと目を見開いて、毛先がファサっと逆立った
…気がした。
うん、決めた、捕まえよう。
『アクシオ！(来い！)』
猫がこちらにお尻を向け駆け出すのと
私が杖を出すのが同時だった時点で決着がついている
手元にさっぱり収まった猫が絶望するのも知らず
私のテンションは爆上がりした。
『か、かわいい〜〜っ！！！』
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浅野(プロフ) - 続きを楽しみにしてます！頑張ってください (2023年3月15日 12時) (
レス) id: 7738234d33 (このIDを非表示/違反報告)
菫(プロフ) - 素敵な世界観で一気に読んでしまいました！続きを楽しみにしています。 (2021年7月1日 12時) (レス) id: 53672676a1 (このIDを非表示/違反報告)
maya(プロフ) - めっちゃ面白くて今まで読んで、評価しかしたことなかったんですが、初めて感想書かせて頂きました！お時間あればぜひ続きが読みたいです！ (2021年4月16日 4時) (レス) id: fb06234f32 (このIDを非表示/違反報告)
薫乃(プロフ) - めちゃくちゃ好みのお話です！！更新楽しみにしてます！ (2021年2月22日 20時) (レス) id: 58fa025e8e (このIDを非表示/違反報告)
りえ(プロフ) - Abbさん» ありがとうございますー！とてもとても嬉しいです！魔法の世界について私も詳しい訳ではないので間違いなどかればご指摘ください！ (2021年1月18日 1時) (レス) id: 9a3bbadc3a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りえ | 作成日時：2020年12月22日 15時
