これからの苦労 ページ6
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「 監督達戻って来たらラストゲームだな〜 」
黒尾の言葉にもうそんな時間かと思いながら水分を身体の中へ浸透させる。今日も皆調子が良く、1セットも落とす事無く戦えて居る。未だテンションの高い山本に煩いと嫌な顔をする研磨を視界に入れながら向こうのベンチに行ってから未だ戻ら無いAの姿を探そうとするといきなり相手ベンチから大きい声が聞こえ、他の奴らも吃驚したのか相手ベンチへ視線を移した。
「 今あっちの主将何て言ってた？」
「 …Aちゃんに彼氏居るか聞いてたね 」
「 まぁ、うちの子モテますからね〜 」
隣に居る海と黒尾に問い掛けると苦笑いを浮かべながら答える海と、少し自慢気に答える黒尾はやはりシスコンなのかと思いながら少しむっとしてしまう。モテるだろうとは思って居た。あの容姿で仕事も出来て愛想も良いのだから。然し今聞くかと少しあちらの主将に呆れながらも胸の内がもやもやとした物で埋め尽くされて居た。
「 あら〜？夜っ久ん嫉妬ですか〜？」
俺の頬をつんつんと人差し指で押して来る黒尾の手を少し強めに振り払う。彼女でも無いのに手を掴まれてる姿に何か嫌な感情が支配して来る。他人に、しかも男に触れられるのはこんなにも嫉妬心を煽るのかと納得してしまう。他に何て言われてるのかは聞こえ無い。多分彼氏は居ないから居ないと答えて居るのだろう。居たら黒尾に彼女への気持ちを伝えた時に教えてくれる筈だし、黒尾が知らなくても研磨には嘘とかつかなそうだから確信出来る。
「 …は〜…これから日常的にあーいうのを見るのが増えるとか俺やべーかも… 」
その場に屈んで腕に顔を埋めて大きく溜息を吐く。多分俺は嫉妬とかヤキモチとか大分する方なんだと思う。他の男に触られるとか以ての外で、でも其れを阻止出来るのは彼氏の特権で、唯の部活の先輩ってだけで其れ以下でも以上でも無い。
「 …安心していーぞー、あーいうのはA、だいぶ嫌いだから 」
黒尾の言葉に顔を上げると苦笑いして相手ベンチを指差す。もう一度見たくは無いが気になり視線を移すと " いい加減にしてください！！" とAが声を荒らげて掴まれて居た手を振りほどいた。其の対応に吃驚して目を見開いて仕舞う。手を振り払われた相手は呆然と立ち尽くして居た。あれ、ラストゲーム使い物になんのか、とどうでもいい事が頭に浮かぶ。頬を膨らませてあからさまに怒った顔のAが此方に戻って来た。
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作者名：omo | 作成日時：2024年3月25日 12時
