馬鹿な思考は止めてくれ ページ5
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明日はいよいよ因縁の相手との練習試合がある。その前に白戸高校との練習試合をするべく、コートの近くに脚立を並べたりドリンクを作ったり、マネージャー業をこなすべくいそいそと走り回る。相手校にはマネージャーが居ないみたいだったので存分に戦いに集中してもらう為、出来る限りの事は私が引き受けた。
『 すみませんドリンク此処置いて起きますね！』
「 え、あ、ありがとう…ございます 」
何セット目か終わった頃、相手校の輪を割って入ら無い様に少し遠回りしてベンチの近くにドリンクホルダーを置く。声を掛けると数人が此方を見てお礼を言ってくれたので少し口角を上げて笑みを返す。音駒の皆も暑そうに張り付いたユニフォームを鬱陶しそうにパタパタとさせて居るのを見て、タオルを配らなきゃとベンチに戻ろうとすると相手校の主将らしき人に手を掴まれて走り出した脚を止めた。振り返って相手を見ると少し顔が赤い気がする。音駒相手だと運動量も半端無いんだろうなと他人事の様に思う。
『 …？他に何か有りました？』
「 あっ、いや、その… 」
ごにょごにょと言い難そうに少し俯き気味な彼の言葉を首を傾げながら待つ。少し強く握られて居る手を見て少し不快に思ってしまった。何か頼み事かお願いが有るのなら聞く。けど、手は離して欲しい。なかなか口を割ら無い相手に痺れを切らして此方が声を出そうとすると、俯いて居た顔をﾊﾞｯと上げて私を真っ直ぐに見る。
「 あの！！彼氏居ますか！！！！！」
『 は……？』
余りに大き過ぎる声に吃驚する。相手の後ろに居るチームメイトはケラケラ笑いながらにやにやと此方を見て居る。うちのチームメイトにも聞こえただろう。割りと大きかったし。後ろを振り返れ無いから皆の顔を見れ無い。然しそんな事はどうでも良くて、唯此の状況と彼の言葉に私は無性に腹が立ってしまった。今練習試合中だよ。確かに後1セットぐらいで終わるかなというところでは有る。でももっと集中して欲しい。そんな馬鹿な質問されるの何て思っても居なかったし、恐らく監督やコーチが今席を外して居るからチャンスとでも思ったのだろうか、そんな馬鹿な思考に余計もやもやした。
「 あの…質問… 」
『 ああ……居ないですよ 』
私がずっと黙って居たからか少し顔を覗き込まれる。イライラして居た所為で眉間に皺が寄って居ないか不安になるが成る可く顔に出無い様必死に表情を作った。
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作者名：omo | 作成日時：2024年3月25日 12時
