心配と下心 ページ37
.
「 次の授業の準備手伝うように頼まれたからもう戻るね 」
「 そうなん？また部活でな〜 」
「 いってら〜 」
いつものメンバーでお昼を食べて居ると海が先に席を立ち、自分の教室へと戻って行った。次の授業なんだっけなと思い出しながら食べ終えた弁当箱を片付け始める。牛乳パックにストローを差しながら " そういやーさ " と黒尾が口を開き始めた瞬間に教室の扉付近から " 黒尾さん！！ " と呼ぶ声がして俺も黒尾も其方へ顔を向けた。
「 んあ？リエーフ？に、犬岡… 」
「 珍しいなお前らが3年の教室に来るなんて 」
後輩のリエーフと犬岡がバタバタと少し大袈裟に近寄って来るのに少し後退りそうになる。
「 Aが！熱いです！」
「 …はあ？」
意味の分からないリエーフの言葉に俺も黒尾も首を傾げて居ると犬岡が足りない言葉を付け足した。
「 ちょっと！それじゃ分かんないって！えっと、Aが熱出したみたいで、だいぶ辛そうなんですけど黒尾さん連れて帰れますか？」
「 熱だぁー？」
2人がこんなに焦って居るのを見る限り、相当しんどい状況らしいのが分かり、心配になる。朝練の時も口数が少ないなとは思っては居たけど、別にいつも喋りまくってる訳じゃ無いから不思議には思わなかった。黒尾が指を顎に添えながら " やっぱ熱あったか… " と呟いた。
「 朝から調子悪そうだとは思ってたけどな、教室行くわ 」
ストローにもう一度口をつけて一気に牛乳を飲み干すと黒尾は立ち上がってリエーフ達の背中を押した。
「 夜久、俺教室行ってくっから 」
「 俺も行く 」
「 …あー…そう？」
俺も立ち上がって3人の後ろに追い付くと少しにやついてる黒尾を見なかった事にした。そりゃあ行くに決まってるだろ。心配だし。それに、この後恐らく黒尾が連れて帰るから放課後は顔が見れない。だから少しでも顔が見たい気持ちも有るから着いて行く事にしたのは秘密だ。
1-4の教室に着き、教室内を少し見渡すと1つの席の周りに芝山と手白が心配そうな顔で囲んでるのを見付けた。其の席に近付くと、周りは3年生が急に教室に入って来たからか少しざわついた。
「 Aー？」
机に突っ伏しているAの姿を見て、余計に心配になった。黒尾が彼女の額に手を添えて " あっちいな " と呟いた声が耳に届く。名前を呼んでAの様子を確認すると薄らと瞼が開かれて小さく黒尾を呼んだ。彼女の辛そうな声に少しどきっと心臓が鳴る。不謹慎過ぎるだろ俺。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 147人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：omo | 作成日時：2024年3月25日 12時
