熱い身体 ページ36
.
「 いってぇ〜…暴力反対ー 」
『 り、リエーフが変な事言うから！』
痛がるリエーフに少し申し訳無さを感じながらも爆弾発言をしたリエーフが悪いと少し開き直る。手に持った教科書を机の中へ片付ければ机の上に突っ伏す。
「 2人はもうラブラブなんだって聞いたけど 」
『 〜っ……誰情報よ… 』
「 猛虎さん！」
心の中で山本先輩を呪ってやると思いながら少し顔を上げる。他の皆にもラブラブだと誤解されて居るのを想像すると頭がくらくらした。
「 …Aさんやっぱり体調悪い？」
『 ん〜…分かんない… 』
「 顔赤いね 」
「 それは夜久さんの事考えてたからじゃないの？」
『 もう！リエーフしつこい！わっ…ととっ……！』
夜久さん夜久さんと煩いリエーフにもう一度痛みを喰らわせてやろうと立ち上がると思ったより身体がふらつき、少し後ろに倒れそうになる。犬岡が咄嗟に背中を支えてくれたお陰で倒れずに椅子に座る事が出来た。
「 あっぶないな〜…Aやっぱり熱いよ、熱？」
『 そんな事…ない…はず…んんん〜… 』
身体が熱いと自覚すると余計に体調の悪さは悪化して仕舞うもので、どんどん頭痛が強くなり机の上に顔を預けて脱力する。目を開けるのも疲れて来て目を閉じると額にひんやりとした体温を感じた。
「 あっつ！！」
リエーフの声に今の手はリエーフのものだと理解する。熱が有るか確認してくれたのだろう。
「 保健室連れて行かなきゃ 」
「 でもおぶったりしたら夜久さんに殺されない？」
「 そんな事言ってる場合かな？」
「 ん〜…黒尾さん呼ぶ？」
「 それがいい！夜久さんとかも一緒だろうし 」
4人の声が耳に流れ込んで来る。其れを聞き流しながら意識が遠のいて皆の声も聞こえ無くなった。
意識が遠のいてから何分経ったか分から無いけど、多分そんなに経って無い。また額に気持ち良い体温を感じた。薄ら瞼を開けるともう一度皆の声も少しずつ聞こえて来る。
「 Aー？」
嗚呼。鉄兄の声だ。鉄兄が見える位置迄屈んで顔を覗き込んで来る。声を出そうにも身体の怠さと頭痛の所為で喋るのもしんどかった。
『 ん…てつ…にい… 』
「 お、意識はあんな 」
「 A大丈夫か？」
怠い状態でも心臓というのは素直なのだろう。夜久さんの声が耳に届くと心臓がとくんと少し跳ねたのが分かる。心配して鉄兄と一緒に来てくれたのか。嬉しくて夜久さんの名前を呼びたいのに上手く言葉にならない。
『 や、くさ……ん 』
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 147人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：omo | 作成日時：2024年3月25日 12時
