憧れと恋は紙一重【夜久衛輔】② (ページ32)

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解けない誤解ページ32

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絶対誤解されてるだろうなと思っては居た。あんなのを見たらそりゃあそう思う。私でもそう思う。

「 Aってリベロの人と付き合ってたんだな！！」

『 …つ、付き合ってないよ！』

「んえ？違うのか？なあ影山ー！付き合ってねーんだってよ！」

「は？あれだろ、照れ隠し？ってやつだろ？」

「あー！なるほどな！照れ隠しか！」

『ち、違うってば！』

翔陽達と一緒にネットを片付けて居るとやっぱり誤解されて居る発言が飛んで来た。私と夜久さんが " カップル " という誤解があの一瞬で広まってしまったのだ。あんなに甘い雰囲気で唇がくっつきそうな程顔を近付けて居たらそう思ってしまうよね。困った様に眉を下げながら否定し続けるが、其れすらも照れて居るという事にされて仕舞う。此れ以上この話をしてても誤解は解けないと思い、話題を変える事にした。

『そ、そんなことより！2人とも凄かったよ！』

「ほんとか！」

『うん！影山くんの正確なコントロール技術も、翔陽のバネと運動神経、あの速さは凄い武器になるし、これから止められる人なんてそうそう出てこないんじゃないかな！』

「「アザース！！」」

『ふふ』

ネットを畳切って其れを倉庫に運びながら口を動かす。私の褒めに対して2人でお礼を言う姿がなんか可愛くて笑みが零れてしまった。

「次は！負けないからな！」

翔陽が私の目の前にﾊﾞｯと現れて眩しい笑顔を向ける。其れを見てまた笑みが込み上げて来る。翔陽は何処か私のツボに入ってしまってるらしい。少し深呼吸をして私も釣られる様にして笑みを見せた。

『次も負けないよ』

一言だけそう伝えると空気に少し緊張が走った気がした。其の緊張を解く様に2人の肩を緩く叩き " 今日帰ったらちゃんと食べて、ちゃんと寝てね " と微笑む。私の言葉に頷く2人を見ながら心の中でもっと強くなってと願った。烏野の成長はきっと音駒の成長にも繋がる。此の時からそう確信して居た。

2人にモップ掛けをお願いすると2人で勢い良く倉庫から飛び出して行った。其の後ろ姿を見て今日何度目の笑いか分から無いがまた込み上げて来てしまった。

「 3番さんのレシーブ凄かったっす！！」

笑いの所為で目尻に溜まった涙を拭いながら倉庫から出ると少し大きめの声が耳に届き、反射的に其の声の方へ顔を向ける。其の視線の先には烏野の3年生セッターの人と一緒に居る夜久さんと、其の目の前で仁王立ちした2年のリベロの人が居た。

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