君には褒めて貰いたい ページ29
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今日の試合の運動量は半端無くて、ほぼ全員が死にそうなぐらい疲れ切って居た。俺もその内の一人で、其の疲労を残して置かない為にもクールダウンはちゃんとする。ふとAの姿が目に入って、試合後のルーティンである選手一人一人の状況を把握しながら良かった処やこうした方が良かったという反省点を伝えて居た。
「 おーやってるやってる、今日はめちゃくちゃ長そうだな 」
「 6セットもやってるしなー… 」
隣で黒尾が少し苦笑いしながら " 俺には容赦ねーからなあいつ " と愚痴を零すも、俺から見ると嬉しそうな表情だったから少し心の中で笑ってやる。入部したての時は、Aの言う事が半信半疑だった奴らも、指摘と助言が的確過ぎて彼女がチームから信用を得るのは大分早かった。黒尾の妹だからというのもあると思うが、信用される早さに関してはAの人柄の良さが伺える。
「 でも俺、いつもそんな長くねーから羨ましいわ 」
「 …いやいや夜久さ〜ん？なんでいつも夜久にはアドバイスとか反省点とか少ねぇのか分かってねーの？」
「 …？俺がすげーから？」
「 …いや、うん、間違ってはないんだけどね 」
質問に何の疑問も抱かずに答えると目を丸くさせ苦笑いと共にため息を吐かれてしまった。何だよ難しい質問すんなよ。少し唇を尖らせながら黒尾を睨む。そんな俺に " ま、本人に聞きゃー良いよ " と黒尾が顎で指示を出して来るから顔を正面に向けると少し駆け足で此方に寄ってくるAが見えた。
『 夜久さんっ鉄兄っおまたせしました！どーぞ 』
「 おう、さんきゅ！」
「 ん、A、俺の分後で聞くわ。片付けの前に監督と帰りの段取り確認して来っから 」
『 ん？分かった 』
何だよ段取りって、片付けて帰るだけだろ。多分、俺に気を遣ったのか2人きりにさせてやろうと云う黒尾の声が聞こえた気がした。少し顔を引き攣らせながら黒尾を見送ると横から視線を感じて彼女へと視線を移す。
「 ああ、じゃあいつものどーぞ？」
『 え…あ、はい！ナイスゲームでした！』
「 おうっ」
『 …………初めて見た烏野のエースのスパイク一発目で手に当てるなんて流石ですね…！ 』
「 あ〜まぁ繋がりはしなかったけどな…………え？そんだけ？」
脚の筋肉を少し伸ばしながら他の奴ら同様、Aの言葉を待つも明らかに少ない賞賛に目を見開く。否、今日は俺も絶好調と言って良いぐらいだったし、褒める処はもう少し有ると思ってたから余計に吃驚した。
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作者名：omo | 作成日時：2024年3月25日 12時
