似てる幼馴染みの2人 ページ25
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ドリンクやタオルを配り終わったAが監督の横へ戻り、俺達の方に向き直れば監督の後に続き言葉を続けた。そんな彼女の言葉と態度に目を丸くする。俺だけじゃなくて他の奴らも少し吃驚したんだと思う。黒尾と研磨だけは驚かずに唯彼女の話をちゃんと聞いていた。
『 でしょ？研磨くん 』
「 ん…翔陽が攻撃の軸なら、翔陽を止めちゃえば良いよ 」
「 しょーよー？」
『 すばしっこい10番の事です。あの2人は云わば " 鬼 " と その " 金棒 " です。まずは " 鬼 " から " 金棒 " を奪っちゃいましょう 』
いつも通りの可愛らしい愛嬌がある、男女共から好かれそうな笑顔とは違い、少し狂気じみた笑みで背筋がぞくりと反り立った。彼女が " 全国制覇 " だと口にしたあの日に感じた様な感覚と少し似て居て、自然と上がる口角を誰にも見られ無い様に首に掛かって居たタオルで隠した。
「 おっまえ良く見てんのなー？！研磨みてーじゃん！」
『 わ〜…それ良く言われます 』
「 なんでAが嫌そうなの、俺も嫌だけどAに似てるって言われるの 」
『 ひ、酷い…！研磨くんみたいに陰キャじゃないもん！』
「 言われてんぞ研磨 」
「 …間違っては無いからね 」
「 否定しろよ… 」
山本が関心したようにAの肩をﾊﾞｼﾊﾞｼと叩きながら首を縦に振って頷く。少し痛そうに顔を歪めながら緩やかに其の手から逃れる彼女を見詰めながら3人の会話を耳に入れる。そんな俺の横で俺に聞こえるぐらいの音量で黒尾が話し始めた。
「 山本の言ってる事は間違ってねーのヨ 」
「 あん？なにが？」
「 着眼点？人を観察する能力に長けてっからね研磨も、Aも… 」
「 あー…分かるわそれ 」
黒尾の言葉に心当たりが有る。今迄の部活での様子を見ている限りでも、Aは部員1人1人をちゃんと見ているし、其れのお陰で怪我をしても直ぐ手当てに移れたり、ドリンクの補充やタオルの渡すタイミングが的確だったり、納得出来る部分がとても多かった。これ迄の彼女の姿を思い浮かべて頬が緩む。そんな俺に向かって少しにやにやと口角を上げながら黒尾が告げる。
「 まぁそれは誰かさんのおかげなんですけどね〜〜？」
「 はあ？誰かさんって誰だよ 」
眉をぴくりと動かして反応して見せると楽しそうにｸｸｸと笑う黒尾にむかついて蹴りを入れてやろうとすると、俺達の話を聞いて居たのか俺の代わりに黒尾の肩をﾊﾞｼﾝｯと勢い良く叩くAが視界に入った。
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作者名：omo | 作成日時：2024年3月25日 12時
