憧れと恋は紙一重【夜久衛輔】② (ページ18)

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直球すぎる言葉ページ18

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名前を呼ばれると口も手の動きも全て止まる。お玉を持つ手が少し震える気もする。夜久さんが私の隣に来て顔を覗き込んで来たと思えばなんとも嬉しそうな表情で口角を上げて悪戯っ子の様に笑っていた。其の表情にぽかんと口を開けながら吃驚してしまう。

「で？俺の寝起きがどうずるいんだ？」

『～～～っ！？』

意地悪そうに笑った儘放たれた言葉にまた声にならない悲鳴を上げながら顔がみるみるうちに赤くなってしまうのが自分でも分かった。

「んー？」

『やっ…顔、近い…です』

なかなか喋らない私にずいっと顔を近付けて答えるまで逃さないとでも言う様な瞳で私を捕らえる。其の近さに耐えられ無くて何も持って居ないもう片方の手を前に出し、夜久さんと私の顔の間に壁を作る。すると其の手を掴んで間から離されてしまった。また絡み合う視線に今迄の比じゃない無いぐらい心臓が煩い。此れは自分の気持ちを自覚して、理解してしまったからだ。逃げられ無いと悟った私は目をぎゅっと瞑り、薄らと口を開いた。

『っ…ね、眠そうなのとか…寝癖、とか…ぜん、ぶ……可愛いなって…思っちゃった…だけですっ』

観念した様に思って居た事を全て口にする。何も言わ無い夜久さんが気になって閉じていた目を薄ら開けて盗み見る。そこには少し斜め下に視線をやり、口元を手の甲で隠しながらも頬を薄ら赤く染めて居た夜久さんが居た。其の表情に目を丸くしていると皆が居るテーブルらへんから " Aー？まだかー？ " と鉄兄の声が聞こえた。ハッとしていつの間にか夜久さんの手が離れて居たので3人分の朝食を準備しだす。

「 …俺も手伝う」

『へっ、大丈夫ですよ？』

「おぼん3つも持てないだろ？ほら、そっち持って」

『あ、ありがとうございます！』

準備されたおぼんを夜久さんが2つも持ってくれたので、残されたもう1つを両手で手に取り、夜久さんの後ろを追う様に歩き出そうとすると夜久さんの脚が止まり、自然と私の脚も止まる。

「あんま可愛いとか言われんの嬉しくねーけど……好きな子に言われんのは嬉しいもんなのな… 」

一言だけそう言えば止めて居た脚を再度動かして皆の元へ歩いて行く夜久さんの背中を見詰める。言われた言葉をもう一度頭の中で再生して、理解した。

『 …好きな…子………～っ！！』

理解した私の顔はもう真っ赤で其れを収まる迄待ってから鉄兄の分を渡すと少し冷めて居た様で不服そうな鉄兄の言葉は受け流した。

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