憧れと恋は紙一重【夜久衛輔】② (ページ11)

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そんな自分が嫌になるページ11

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「今すぐに付き合いたい訳じゃないって言ったら嘘になるけど、返事を急かしたい訳でも無いから…ゆっくり考えて欲しい… 」

其の言葉は夜久さんがどれだけ優しい人なのかを物語ってると思った。私のペースに合わせ様としてくれて居る。今の段階で直ぐにYESかNOかなんて出せ無いと分かってくれて居る。其れに、きっと私がちゃんと考えてNOと決断してしまったとしても優しい人だから、其れ以降も唯の先輩後輩として接してくれるだろう。

『 …わ…分かりました…考えます、ちゃんと…夜久さんの事… 』

小さく頷き、夜久さんの意見に同意する。夜久さんの顔を見ると少し頬を緩めていつもの優しい笑顔を見せてくれた。其れが凄く目に焼き付いて、また目頭が熱くなった。今迄私の生きる糧を与えてくれて居た憧れの人。そんな人に愛の籠った熱を与えられ、好きだと告げられて、私は此の人に何を返せるのか。同じ気持ちを返せるだろうか。また此の優しい笑顔を見れるだろうか。夜久さんの胸辺りの服をきゅっとまた握って肩に顔を埋めた。すると夜久さんの肩が小さく跳ねた気がした。

「 ……あんま可愛い事すんな…今直ぐ俺のものにしたくなるだろ…あほ」

『っ…ご、ごめんなさい… 』

離れ様とすると背中に腕を回されて再度抱き締められる。どちらの心臓の音なのか分から無いぐらいどくんどくんと心臓が脈打つ音が聞こえる。其れもまた心地良くて、離れたくないと思ってしまった。本当酷い女だと思う。告白されて直ぐ返事が出来ないのに甘えるなんて。甘く優しい時間がまた少し過ぎた。互いに言葉は発さずに唯夜久さんに包み込まれる。

「夜久さーん！！！Aー！！」

急に2人を呼ぶ声が聞こえて互いに慌てて身体を引き剥がす。声をする方向に視線を向ければ同級生の犬岡がきょろきょろと私達を探して居た。

「 …ラストゲーム始まる頃か、俺先行くから後から来いよ」

『え…大丈夫です一緒に行きます』

「 ……だめだって」

夜久さんが立ち上がったのと同時に私も立ち上がろうとすると肩を押されて立てなくなる。不思議そうに夜久さんを見上げると耳元に口を寄せ小さく囁かれた。

「 …Aのそんな可愛い表情誰にも見せたくねーから…正常に戻ったら戻って来いよ」

また顔に熱が溜まって俯くとそんな私の頭を優しく撫でて未だ名前を呼んで探す犬岡の元へ駆け寄って行った。壁際に寄り掛かって蹲り " どんな顔してるの…私 " と呟いた言葉が風によって流された。

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