いつもと違うようで同じ ページ39
.
『 そういえば何か用でした？』
餌付けが楽しくて卵焼き以外にも夜久さんに差し出して仕舞い残りのお弁当が無くなってしまった。少なかったから全然良かったのだけど。思い出した様に夜久さんが此処へ来た理由を問い掛ければポケットから折られた紙を出し、受け取れという様に私へ差し出した。
「 合宿の案内 」
折られた紙を開くと " ゴールデンウィーク合宿日程 " と書かれて居た。朝に出発してお昼頃に到着といった処だ。荷物の準備しないとなと思いながら紙を眺めて居ると、ふと違和感を覚えたので問い掛ける。
『 ……態々探さなくても他の1年生に頼めば良かったのでは…？』
「 ……あ-…まぁ… 」
私の質問に少し目を丸くして言い難そうに顔を背ける。なんならこういう予定表みたいな物は鉄兄から受け取る事が多いし、主将じゃ無い夜久さんから受け取るのも珍し過ぎて逆に違和感だった。ずっと不思議そうに夜久さんの横顔を見詰めて居ると顔が此方を向き視線が合う。まただ。夜久さんと目が合うと最初に出会った頃より凄く心臓が煩い。心臓だけじゃなくて、なんかこうじんわりと熱が込み上げて来る。
「 ……会いてーなって、思っただけ… 」
『 ぇ……… 』
少し頬が赤い気がする。照れた様なそんな感じの表情。でも視線は逸らさずに私を見詰めた儘述べる。昨日の倉庫での事が急に脳裏に浮かんで来た。その時の夜久さんの空気や目が今と重なって何も言えなくなる。会いたいなんて唯の後輩に言うだろうか。思う事はあるかもしれないけど其れとは今の夜久さんが言った事と意味が違う気がする。ずっと " そんな気がする " とか " 分からないけど " とか、ずっと曖昧で困ってしまう。だって知らないから。私はこんな甘い空気とか熱を持った視線とか、じわじわと熱くなる身体とか知らないから目がチカチカしてくる。ずっと黙った儘の私に少し笑った夜久さんは私の頭を優しく撫でた。
「 なんだよその顔 」
『 も…もともとです… 』
変な顔をしてる自覚はある。顔に熱がいっぱい溜まってるのも分かってる。私の言葉にまた吹き出してｸｸｸと笑う夜久さんに胸が締め付けられた。
「 …可愛すぎ… 」
夜久さんが何か呟いた気がしたけど凄く小さい声な所為で私の耳に届かなかった。首を傾げて夜久さんを見てるとｽﾞｲｯと顔を急に近付けて来て、夜久さんの額と私の額が重なる。近過ぎる距離にあわあわして居ると " これから覚悟しとけよ " といつもの眩しい笑顔を向けた。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 119人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
omo(プロフ) - 天ヶ瀬さん» またコメントしてくださるなんて嬉しいです🥲💗 細かく書くのが好きでなかなか時間が進まなくてすみませんが気長に緩くお楽しみください😭💗 (3月23日 23時) (
レス) id: 7819485fc9 (このIDを非表示/違反報告)
天ヶ瀬(プロフ) - わ〜〜😭😭続きめちゃくちゃ気になりますいつも更新楽しみにしてます‼️‼️💖💖 (3月23日 23時) (レス) @page45 id: 2303c9977f (このIDを非表示/違反報告)
omo(プロフ) - 天ヶ瀬さん» ありがとうございます🥲こんな早くコメント頂けると思ってなかったのでとっても嬉しいです😂💗きゅんきゅん目指して頑張るのでこれからも宜しくお願いします😆✨ (3月6日 23時) (レス) id: 7819485fc9 (このIDを非表示/違反報告)
天ヶ瀬(プロフ) - もうすでに大好きです😭😭やくさん大好きなので嬉しいです更新ありがとうございます😭💗 (3月6日 21時) (レス) @page3 id: 2303c9977f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：omo | 作成日時：2024年3月6日 1時
